イトーヨーカ堂 IT事業部 飯塚竜太氏
イトーヨーカ堂 IT事業部 飯塚竜太氏
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 大手スーパー各社が「ネットスーパー」事業の取り組みを本格化している。ネットスーパーは、対象店舗の近隣ユーザーからネットで注文を受けて、その店舗から配達するサービスだ。
 イオンは2008年春から津田沼店(千葉県)を手始めに久里浜店(神奈川県)、南砂店(東京都)の3店を展開し、ダイエーは9月から東大島店(東京都)で営業を開始した。また、楽天は「マルエツネットスーパー」や「ネットスーパーKINOKUNIYA」などが出店する「食卓.jp」の運営元、ネッツ・パートナーズを子会社化して、ネットスーパー事業に乗り出している。
 競争が激化する中、85店舗を展開するネットスーパー最大手のイトーヨーカ堂は順調に会員数を伸ばし、“売り場”であるECサイトの広告価値を高めている。ネットスーパーの取り組み状況と、掲載した広告の効果などについて同社IT事業部の飯塚竜太氏に話を聞いた。
(聞き手は、小林 直樹=日経ネットマーケティング

ネットスーパー事業には以前から取り組んでいたと思うが。

 ネットスーパー1号店(葛西店)の営業開始が2001年3月。以降4年以上、この1店舗だけで在庫管理や配達のスピードアップなどに取り組んできた。それから徐々に店舗を増やし、2008年2月期に一気に80店舗に拡充して首都圏の大半をカバーするようになった。現在85店舗体制で運営している。

利用者層の特徴は?

 登録会員数は約25万人で、1日に約2万人がサイトを訪れる。会員は月1万人ペースで増えている。属性は、乳幼児と暮らす30~40代の主婦が中心。購入単価は約6000円だ。

 やはりミネラルウォーターなど重くてかさばるものがよく売れている。ネットの客層と来店客層は分かれているのではなく、日常、来店されるお客様が、時と場合に応じてネットも利用されている。普段買い物に出かける店舗から商品が届くので、「あの売り場の商品なら大丈夫」と安心感を持っていただけることが大事。野菜などもよく売れるようになってきた。

サイトで広告も掲載しているが、どんなメニューがあるのか?

 ヘッダーバナーや右側のスクエアバナー、メルマガ広告などさまざま取りそろえていて、SP広告事業者のスコープ(東京都千代田区)を通じて広告枠を販売している。店舗トップページから商品ページ、注文ページまで常時表示されるヘッダーバナーが、1週間50万円(75万インプレッションの想定)。週3回、約15万人に配信している会員向けメルマガが、ヘッダー15万円、フッター10万円といった具合だ。

広告主はどのように活用しているのか?

 新商品の発売に合わせて、商品認知・販促を目的に利用されるケースが多い。その場合、商品サンプリング(配布)やグッズプレゼントと組み合わせると高い効果が出ている。

 4月に発売されたある健康飲料の場合、発売1カ月後に5000人サンプリングの告知バナー広告とメルマガで商品紹介をしたところ、1週間のプロモーション期間中のネットスーパーでの販売数が実施前の4倍に増えた。

 また6月の父の日イベントで、あるビールについて、ノベルティグッズプレゼントの告知バナー広告と商品説明メルマガ、そして店頭でもPOPやポスターを掲示したところ、期間中のネットスーパーでの販売数は実施前の1.8倍になった。

ネットと店頭のクロス展開が効果を上げている?

 味の素さんと共同展開している「アイデアレシピコンテスト」はまさにその形だ。2008年4月、7月、10月と既に3回実施している。「今回のテーマは○○」とお題を設定してチラシや店頭で告知し、ネットスーパーにバナー広告を掲示。キャンペーンサイトを味の素さん側で立ち上げて、そこにレシピ案を投稿してもらうクロスメディア型のイベントだ。毎回百数十人からの投稿があり盛況だった。

 紙のチラシ、実店舗、そしてネットで露出することで認知の向上が見られる。今後も、こうしたクロス展開を活用したタイアップキャンペーンを広げていきたい。