米Embarcadero Technologies(エンバカデロ・テクノロジーズ)で,アジア・パシフィックの技術担当シニア・ディレクタと北アジアのセールス担当シニア・ディレクタを勤めるMalcolm Groves(マルコム・グローヴス)氏が来日し,日経ソフトウエアの取材に応じた。「Delphi for .NET」の後継製品「Delphi Prism」を含む「CodeGear RAD Studio 2009」が2008年12月2日に日本で発表された日の取材である。

(聞き手は原田 英生=日経ソフトウエア


写真●米Embarcadero TechnologiesのMalcolm Groves氏(アジア・パシフィックの技術担当シニア・ディレクタ,北アジアのセールス担当シニア・ディレクタ)

あなたのポジションは。

 アジア・パシフィックの技術担当シニア・ディレクタと北アジアのセールス担当シニア・ディレクタをしている。エンバカデロの製品をアジア・パシフィック向けにカスタマイズするにあたって,各地のフィードバックを開発陣に伝えるのが役割だ。北アジアでのセールスも見ている。私自身は1997年に米Borlandに入社し,DelphiやJBuilderなどの仕事をしてきた。2008年7月にエンバカデロに移り,今の仕事になった。

エンバカデロによるCodeGearの買収はどうだったか。

 エンバカデロは米国で非常に強く,欧州ではまあまあ,アジアでは弱い。CodeGearはその逆で,米国が弱く,アジアが強い。エンバカデロとCodeGearは非常に補完的な関係と言える。エンバカデロの従来の製品は「DatabaseGear」というブランドで呼ぶことにした。アジア・パシフィックでは,CodeGearの製品を使ってくれているユーザーにDatabaseGearのプロダクトを提供していく。現在日本では日揮情報ソフトウェアが「ER/Studio」を販売しているが,DatabaseGearの製品はもっとたくさんある。

 すべての製品を一気に投入するようなことはしないつもりだ。短期的な成果を挙げようとは思っていない。もっとフォーカスを絞ったアプローチ,たとえば,1個のプロダクトを立ち上げて,それが顧客を喜ばせるような展開をしたい。ただ,その最初の製品となるのがどれかは,まだ議論の最中だ。

DatabaseGearにはどんな製品があるのか。

 売れ筋の製品としては,SQLのIDE(Integrated Development Envitonment,統合開発環境)である「Rapid SQL」や,それのEclipseバージョンと言える「Power SQL」がある。SQLは規格化されているけれども,実際には,Oracle Databaseには「PL/SQL」があり,SQL Serverには「Transact-SQL(T-SQL)」がある。スドアドプロシジャもトリガーも書き方が違う。どの会社も複数のデータベース管理システム(DBMS)を使っている。ある開発者が,今週はこのDBMSの,来週はこのDBMSの,という具合に仕事ができるようにするのがRapid SQLやPower SQLだ。CodeGearのDelphi,C++ Builder,JBuilderなどのIDEと同じ操作性ではないけれど,「わかりやすい」というコンセプトは同じだ。コード補完などで開発を楽にするのも同様だ。

 運用を支援するソフトとして,「DB Optimizer」や「DBArtisan」も強力だ。DB Optimizerはメモリーの利用を最適化するなどして,ストアドプロシジャを高速にする。DBArtisanを使うとデータベースのストラクチャを安全に変えられる。すごくクールなプロダクトだ。