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インタビュー

日経コンピュータ

ATM用ソフトの標準化を推進し、海外へも打って出る

日本ATM
取締役 企画本部本部長 埜村淳氏
取締役ソリューション開発本部長 宮本利仁氏

2008/11/28
吉田 洋平=日経コンピュータ
写真●日本ATMの宮本利仁 取締役ソリューション開発本部長(左)、埜村淳 取締役企画本部本部長(右)
写真●日本ATMの宮本利仁 取締役ソリューション開発本部長(左)、埜村淳 取締役企画本部本部長(右)
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ATM(現金自動預け払い機)関連のアウトソーシングサービスで高いシェアを持つ日本ATMは今年10月、韓国のATM関連サービス大手である韓国電子金融との提携を発表した。今後は日本ATMが開発したATM用アプリケーションを韓国市場で販売する。提携の理由や、今後のATM関連市場の見通しについて日本ATMの埜村淳 取締役企画本部本部長と宮本利仁 取締役ソリューション開発本部長に聞いた。(聞き手は吉田洋平=日経コンピュータ)

韓国企業と提携した理由は何か。

埜村氏 日本のATM市場は飽和状態にある。日本で稼働しているATMは現在約18万台で、近年この数はほとんど変化していない。そのため当社を含めATM関連ビジネスを手がける各ベンダーは新たなチャンスを求め、アジアを中心に海外への進出を始めている。

 日本のATM関連技術は非常にレベルが高い。例えば、日本のATMには入金された紙幣を出金に回す機能がある。日本以外の多くの国のATMはこの機能を持っていないため、紙幣の補充の効率などが悪く、コストがかさんでしまう。このように、日本のATMは海外のATMと比較して高い競争力を持っている。多くの国内ベンダーがこの競争力を武器に海外への進出を図っている。

 当社はアジア進出の足がかりとして、韓国のATM関連サービス大手である韓国電子金融と提携した。ATMの監視運用サービスのノウハウを共有するなど様々な分野で提携するが、一番のキモは当社が開発したATM用アプリケーションを韓国電子金融が韓国で販売することだ。2009年中には韓国での第1号ユーザーを獲得したい。

 提携先として韓国電子金融を選んだ理由は、当社とビジネスモデルが非常に似ているためだ。韓国電子金融は韓国国内における警備輸送や障害対応を中心としたATM管理事業で約70%のシェアを持っている。

日本ATMが開発するATM用アプリケーションにはどのような特徴があるのか。

宮本氏 まずATM用アプリケーションとは、ATM上に取引画面を表示し、そこに表示される入出金、振込など各種操作を実行するためのソフトだ。顧客の操作内容に従って勘定系システムと必要なデータをやり取りし、取引を完了させる。

 現在、銀行など多くの金融機関は自社向けのATM用アプリケーションを開発し、各ATM端末にインストールして使っている。ただ、ATMのレシートプリンタや紙幣の入出金機、通帳記帳機などのハードウエアや、それらのハードウエアの連携などを制御するミドルウエアはベンダー各社で仕様が異なる。そのため、ATMを提供するベンダーが異なる場合は、同じアプリケーションは使うことができない状態だ。金融機関は結果的にベンダーに囲い込まれてしまっている。

 当社の開発したATM用アプリケーション「@ATM」は、ATMの機種に関係なく稼働することを目指した製品だ。@ATMはハードウエアやミドルウエアの違いを吸収するためのプログラムであるMPI(Middleware Programing Interface)の上で稼働する。MPIも当社が開発したものだ。

 MPIは仕様を無償公開している。この仕様をハードウエアベンダーが採用する場合、MPIが利用できるよう自社のATMのミドルウエアの一部に手を加えてもらう。すでに複数の国内の大手ハードウエアベンダーがこの規格を採用したATMを販売している。現在、当社がアウトソーシングサービスを提供している国内の4万5000台のATMのうち、MPIを採用し@ATMが稼働しているATMが約3600台ある。

 今年10月には、欧州の標準化機関が定めたATMのミドルウエアの標準規格にMPIを対応させた。これで標準規格を採用しているATM上では@ATMが動作するようになったため、対応機種はさらに増えた。

 MPIの仕様を見れば、@ATMのようにMPI上で動作するアプリケーションを作成することは当社以外でも可能だ。だが、この仕様に基づいたソフトウエア開発のノウハウを当社は蓄積している。MPI上で動くソフトの開発については当社が一番優れていると自負している。

 @ATMはWebブラウザから利用する仕組みになっている。現在はオフラインWebのような形で、Webブラウザから同一端末内にある@ATMにアクセスするという方式を採っている。このようなアーキテクチャを採用した理由は、ATMは今後Web化していくと考えているからだ。

 将来的にATMは、データセンターにあるサーバー上でATM用アプリケーションを動かし、ATM端末はシンクライアントのような形で動作するようになるだろう。このような形態になれば、ソフトウエアのアップデートなどの保守・運用に関するコストを大きく削減できるからだ。技術的にはすでに可能になっているが、現在は金融機関が投資コストに見合う効果が上げられるかどうかを検討している段階だ。@ATMを採用しているATMであれば、ATMがWeb化した場合もそのまま使い続けることができる。

ハードウエアを提供しているベンダー各社もソフトウエアの標準化やWeb化への取り組みを始めている。日本ATMの独自性はどこにあるのか。

埜村氏 ハードウエアに縛られない点だ。他社のソフトウエア標準化は、自社のハードウエアの販売強化を念頭に置いているという側面が強い。当社はハードウエアを開発していないので、ニュートラルな立場でソフトを提供できる。

 今後は、ソフト開発の分野でも運用・保守と同様に共同化、共通化のメリットを訴求していきたいと考えており、その軸となるのがMPI上で動く@ATMだ。アプリケーションの標準化とWeb化を組み合わせることで、アプリケーションを稼働させるサーバーを複数の金融機関で共同利用するといったことが可能になる。システム投資を削減したい中小の金融機関にとっても大きな魅力があるはずだ。

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