写真●ドットアジア オーガニゼーションのレオナ・チェン氏(左)とチン・チャオ氏
写真●ドットアジア オーガニゼーションのレオナ・チェン氏(左)とチン・チャオ氏
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 アジア太平洋地域向けgTLD(分野別トップ・レベル・ドメイン)である「.asia」の運用が2007年に始まった。企業や個人が取得してWebサイトを立ち上げるなど、利用する動きが徐々に広がっている。運営を担う香港の非営利組織ドットアジア・オーガニゼーションに、「.asia」ドメインの動きを聞いた。

「.asia」はどのような経緯で生まれたドメインなのか。

チャオ氏 「.jp」は日本での情報配信に利用されるが、「.asia」はアジア太平洋の複数の地域にまたがって利用する用途向けのドメインだ。ドメインを管理する国際組織ICANN(Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)が06年10月に承認。07年10月に商標権を有する企業や団体からの優先登録を受け付け、一般登録申請は08年3月に受付を開始した。

どのようなユーザーが利用しているのか。

チェン氏 企業がアジア全域向けのWebサイトに使うケースが多い。日本企業のアジア地域の現地法人などがそうだ。ホンダセイコーウオッチがすでにWebサイトを立ち上げ、アジア市場に向けた情報配信に利用している。日本企業はアジア市場での存在感を高めようとしている。そのためには「.jp」だけではなく、「.asia」でのメッセージ配信も必要になるはずだ。

チェン氏 ほかにイベント事業者やボランティア団体が使うケースもある。08年5月にミャンマーを襲ったサイクロンで被災した人々や中国四川省の大地震の被災者を支援するWebサイト「Relief.Asia」でも利用されている。

新しいTLDの中には不正アクセスやフィッシング詐欺に利用されるものもある。

チャオ氏 確かに見慣れない種類のドメインを警戒するユーザーは少なくない。ただドットアジアは「.asia」を運営する立場であり、ドメイン登録時に直接ユーザーを審査することはない。マーケットや、実際にドメイン登録を受け付ける各国の事業者とのコミュニケーションを密にしていきたい。

チェン氏 ドットアジアが市場に向けてどのようなメッセージを配信していくかが重要だと考えている。大手企業や国際的なイベントなど、一般的に使われるWebサイトなどで利用を働きかければ、ユーザーの認知度は高まる。さらにそういった実績を積極的に紹介していくつもりだ。

「.asia」ドメイン普及に向けて、施策はあるか。

チャオ氏 国際化ドメイン名(IDN)を利用できるようにしようと検討中だ。ブラウザのアドレスバーに、日本語や中国語を入力してWebサイトにアクセスできる。メールも「XXX@日経BP.asia」といった形式で送受信できるようにしたい。

チャオ氏 ただ技術的な問題を抱えている。見た目は「国」でも、日本語のコードか中国語のコードかがわかりにくく、ユーザーが間違ったWebサイトへ誘導されるなどの危険性がある。混乱を招かないよう検討を重ねているところだ。