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SCM(サプライチェーンマネジメント)ソフトやMD(マーチャンダイジング)ソフトを提供する米JDAソフトウェアは2008年8月、米i2テクノロジーズの買収を発表した。買収額は約3億4600万ドル、買収完了は08年第4四半期を予定している。06年に買収した米マニュジスティックスに続き、計画系SCMソフトの大手2社を手中に収めたことになる。ヘーミッシュ・ブリューワーCEO(最高経営責任者)に買収の目的と今後の施策を聞いた。(聞き手は二羽はるな=日経コンピュータ)

i2買収の目的は。

 製品の販売拡大が目的だ。06年にマニュジスティックスを買収したことで、プロセス型製造業向け市場での売り上げを伸ばせた。i2の買収により、組み立て型製造業向け市場での売り上げも拡大できると考えている。JDAは製造業のトータルなSCM提供者になる。

 当社の試算では、プロセス型製造業と組み立て型製造業の規模はほぼ同じ。i2買収により、単純計算で我々の製品を使う可能性のある顧客は2倍に増えると期待している。

08年6月にガートナーが発表したSCMソフトの市場シェア調査では、依然としてSAP、オラクルの2強が君臨している。

 当社はデータベースもERP(統合基幹業務システム)パッケージも持っていない、SCMソフトに注力するベンダーだ。その分SCMの領域では最先端の機能を提供できると自負している。会計にSAP製品を使っていても、SCMに当社の製品を利用している企業も少なくない。

サブプライム問題、資源高など、世界規模で厳しい景気動向が続く。製品をどのように売り込むのか。

 確かにこれらの問題は深刻だ。短期間で投資費用を回収できない分野へのIT投資マインドは下がっている。

 しかし厳しい状況にもかかわらず、当社は昨年と比べ、新規顧客が10%以上増えた。輸送費を減らすためにルートを最適化して提案するソフトなど、短期で投資費用を回収できる製品を提供しているからだ。

 顧客はROI(投資対効果)の見えにくい製品にはますます投資しなくなるだろう。例えば人事や経理システムは導入効果がすぐには表れないので、投資は進みにくいかもしれない。逆に投資回収が見込めるのであれば、厳しい経済状況下であろうと投資は進むはずだ。今こそSCM製品を訴求していくチャンスだととらえている。SCMは今後成長性が見込める市場だと考えている。

日本での施策について教えてほしい。

 まずハイテクや自動車などの業種に製品を売り込んでいきたい。i2が加わることで、ハイテク分野向け製品を強化できるからだ。日本を含むアジア太平洋地域は、売上高は北米、欧州・中東に次いで3位。内訳をみるとハイテク業界が高い。ここで強みを発揮していきたい。

 i2の買収が完了したわけではないので、具体的な施策の話はできない。06年にマニュジスティックスを買収したときは、日本の顧客との対話を進めて日本の特徴を探った。ビジネスの進め方の独自性を理解し、施策を確立するためだ。今回も顧客との対話は積極的に進めるつもりだ。

 人材については、i2ジャパンにいる高い専門知識を持つ人材がJDAに加わることに期待をしている。新規雇用の必要性も感じている。最初はSCMプランナやロジスティックスマネジャなど、実経験者の雇用を考えていく。