写真 米CAのファミュラーロ上級副社長
写真 米CAのファミュラーロ上級副社長
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米CAでバックアップやリカバリソフトウエア製品を統括するアダム・ファミュラーロ上級副社長は、自然災害など非常事態からの復旧も重要だが、日常的な「うっかりミス」からのリカバリをきちんと管理するべきと強調する。今後はバックアップ/リカバリ製品と仮想化技術との連携を強めていくという。(聞き手は市嶋 洋平=日経コンピュータ)

ユーザーはバックアップやリカバリをどのような局面で活用しているのか。

 一つ強調しておきたい点がある。メディアでは自然災害によるシステムやデータの被害が大きく取りあげられる。もちろん重要な事だが、バックアップやリカバリは想像以上に日常的に使われている。

 ユーザーの操作ミスが自然災害よりも頻繁に起こるからだ。誤ってうっかり削除してしまったファイルを検索して回復したり、コンピュータウイルスに感染してしまったシステムを元に戻したりといったことだ。また、システム管理者が操作を誤って、ユーザーの大事なデータをなくしてしまうケースもある。

どのようなシステムでの利用が多いのか。

 近年、グループウエアや電子メールサーバーへの適用が増えている。もはやメールのデータは企業やユーザーにとって最重要のミッションクリティカルであるからだ。

 例えば、米テキサス州立大学ではマイクロソフトのグループウエア「Exchange Server」を遠隔地で保存しシステム全体でリカバリするのに当社製品を利用している。本部から離れたオースチンにバックアップのシステムを置いており、有事にはダウンタイムゼロでサービスが切り替わる。日常的なトラブルから、先日襲ったハリケーンなどでも使った。米国では自然災害としては地震よりもハリケーン対策に重点を置いている。

仮想化を活用することで、システムを丸ごとバックアップしリカバリーできるようになる。しかし常に状態が変わるシステムの「スナップショット」を管理するのは難しいのではないか。

 その課題を解消するため今まさに精力的に取り組んでいるところだ。

 まずは米ヴイエムウェアの技術や製品との連携を強めている。今後1年以内にオンラインでのバックアップとリカバリを即時にできるように開発をすすめている。今のところ想定している対応アプリケーションは、Oracleデータベースサーバー、Exchange Server、PDAのブラックベリーを管理するサーバーである。もちろんマイクロソフトとも仮想化技術について話をしている。

製品の販売状況について教えてほしい。

 BCP(事業継続計画)やERM(企業リスク管理)の観点から、IT部門のマネージャーは今後より全体的な視点でバックアップやリカバリーの分野を見るようになる。政府や業界団体による規制もあり、ミッションクリティカルなアプリケーションに対するバックアップやディザスタリカバリの需要が高まっているからだ。当社製品の販売も市場の成長にあわせて伸びている。

 当社ではシステムが停止してから再開するまでの復旧時間目標(RTO)を支援するものとして、システムのフェイルオーバーやデータのレプリケーションを行うARCserveのReplication/HA(ハイアベイラビリティ)シリーズを用意している。一方で、どの状態までさかのぼれるのかの復旧時点目標(RPO)ではシステムのスナップショットを保存したりデータをアーカイブしておくARCserveのBackupシリーズが有効な対策となる。

ストレージベンダーの中には、ハードウエア的にレプリケーションを実行する機能を搭載し、ソフトウエアによるバックアップはもう必要ないと訴求しているところがある。

 そこには誤解がある。まずCAはストレージのベンダーとはしっかりとしたパートナーシップを組んでいる。当社のソフトウエアをバンドルしている製品もある。ハードウエアのストレージ装置はソフトウエアに比べて高価。用途や目的によってソフトウエアでのバックアップ/リカバリとバランスをとって活用していくことが必要だろう。