独Software AGは,SOA(サービス指向アーキテクチャ)に基づく各種ミドルウエアを中核に,ユーザー企業の業務プロセス統合や業績管理などを支援するソフトウエア企業である。メインフレーム環境からJava環境までカバー領域は広い。来日中の同社Enterprise Transaction Systems分野CTOのJoseph J.Gentry氏に,ユーザー企業におけるシステム開発の動向を聞いた。

(聞き手は日川 佳三=ITpro



独Software AGでEnterprise Transaction Systems分野でChief Technology Officerを務めるJoseph J.Gentry氏
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ユーザー企業のソフトウエア開発の動向について教えてほしい。

 以前の企業情報システムは,1970年代をピークに,Built(構築)の時代が続いた。手組みでシステムを開発するスタイルだ。その後,1990年代をピークに,Buy(購入)の時代がやってきた。業務パッケージを導入するスタイルだ。その後は,Web Servicesなどによるシステム間連携が進み,2008年現在から将来にかけては,Compose(構成)の時代と言えるだろう。

 独Software AGは,こうした企業情報システムの動向に合わせて,データベース管理システムの「Adabas」,4GL(第四世代言語)による開発環境の「Natural」,ESB(Enterprise Service Bus)やBPM(Business Process Management)といったSOA関連ミドルウエア製品群の「webMethods」などを市場に投入してきた。ここで大切なことは,ユーザー企業が過去に構築したアプリケーション資産を活用し続けられるような製品展開をしてきたという点だ。

Compose(構成)の時代にSoftware AGが製品として取り組んでいる点は何か。

 3つある。1つは,業務プロセスなどの可視性を高め,最適化すること。2つ目は,新たな業務プロセスを定義し,効率化すること。3つ目は,業務プロセスを管理/統治できるようにすることだ。

 Software AGの製品は,競合他社と比べると,SOAの実装が容易だ。ノン・プロプライエタリになっており,色々なソフトとの組み合わせの自由度が高いからだ。一方で,他社製品は,1社の単一ブランドですべての製品を一通りそろえなければ動作しない場合が多い。

 例えば,ESB製品は他社製品の多くと同じくJavaアプリケーション・サーバー上で動作するスタイルを採用しているが,稼働プラットフォームとしてのアプリケーション・サーバーを特定していない。各社のアプリケーション・サーバー上で動作する。

製品に関して最近のトピックはあるか。

 SOA関連製品として,業務プロセスの可視性を高めるソフト「webMethods Insight」を2008年9月8日に発表した。なお,同ソフトは,米Progress Softwareが買収した米Actionalが開発したソフト「Actional」(旧称Looking Glass)のOEMである。

販売面で特筆すべき点はあるか。

 ユーザー企業との距離を近いものにしている。具体的には2つある。1つは,ソフトウエア・ライセンスを,販売代理店を通さず,ほぼ100%直販している。もう1つは,コンサルティングやシステム構築などのSIサービスを,自ら提供している。70社を超えるSIベンダーがSoftware AG製品を使ったSIサービスをユーザーに提供しているが,Software AG自らも,2000人のSIサービス部隊を組織している。

 日本国内でも,ソフトウエア・ライセンスは直販となる。SIサービスは,そのほとんどをパートナであるSIベンダー各社が提供しているが,日本法人もコンサルタントSEとプリセールスSEを含めて10人ほどのSIサービス・エンジニアを擁している。ユーザー企業に対して,BPMやBAM(Business Activity Monitoring)の価値を提案していく。