コミュニティの濃さが違う,年度内に利用者3000万

「価格.com」や「食べログ.com」といった比較サイトを運営しているカカクコム。2008年3月期の連結業績は、売上高が69億4100万円と前の期と比べて42%増、経常利益も19億3000万円で48%増と急成長している。グループ全体のサイト利用者数も月間2300万人を超えた。田中社長に今後の見通しと戦略を聞いた。

価格.comの状況はどうか

 価格.comは2007年10月にWebサイトをリニューアルし、家電やパソコンといった耐久財から、お米やお茶といった日用品まで何でも“買える”サイトになった。利用者数も1300万人を超えている。日用品も買えるという認知がより高まれば、現在の7対3という男女比率も、5対5に近づいていくだろう。

 ただ、我々自身のサイトでは直接、物は買えない。実際に買うのは、EC(電子商取引)大手の「amazon.co.jp」や「楽天市場」、価格.comの出店ショップ(小売店)といった外部のサイトになる。利用者に我々の検索エンジンで必要な情報を探してもらって、ECサイトなどにお客さんとして送り(送客)、そこで物が売れたときに成果報酬をもらうといった形で収益を上げている。また、価格.comの出店ショップに対しては、送客1件当たり18円といった低額の料金を設定している。

 価格.comでは、商品・サービスの価格やスペックといった定量情報と、ユーザーのクチコミなどの定性情報の両方を提供している。ユーザーが買いたいと思った時に、必要な情報で取り囲むというのが我々の仕事になる。新しい製品が出ると、そのあらゆる仕様データを社員が人海戦術で入力していく。その後に、価格はショップ、広告はメーカー、レビューやクチコミを消費者に入れてもらう。いったんデータベースができれば、あとは手間をかけずに情報が増幅していく仕組みになっている。

価格.comで扱う対象はどこまで広げるのか。

 手で触れる「物」については、だいぶカバーできてきた。手で触れられないサービスの方は、保険見積もりといった金融商品など一部を手掛けているが、まだまだ伸ばす余地がある。結婚式などのイベント系や、教育関連は全然対応できていない。

 また日用品でも、ネットで買えば便利だと思うものはまだある。例えば、結構重い洗剤などだ。こうした商品を扱う上で取引したい企業はたくさんある。

クチコミの書き込み状況はどうか。

 価格.comで書かれたクチコミの数は、累計で800万件を超えた。数だけでなく、信頼感も高まっている。これは3年前に、書き込みをIDとパスワードが必要な会員制にしたためだ。今は多い日で6000件を超えるようになった。

 ただ、1日6000件という数自体は、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の「mixi」や「モバゲータウン」より、1けたも2けたも少ないだろう。これは価格.comには、購買や商品・サービスに関することだけを書くという約束があるから。(飲食店の比較検索サイトの)食べログ.comも、月間3万件ぐらいのクチコミがあるが、やはり大手SNSなどと比べると圧倒的に少ないだろう。

 しかし、mixiなどではテーマが限られていないので、ユーザーが役に立つクチコミを探すのは大変。一方で、我々には製品の型番ごとにレビューやクチコミがあり、レストランの名前ごとにクチコミが整理されている。探しやすく、無駄な書き込みがない。