ネクスト 取締役常務執行役員 新規事業本部長の板谷 隆一氏
ネクスト 取締役常務執行役員 新規事業本部長の板谷 隆一氏
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 不動産ポータル事業を手掛けるネクストは2008年7月2日、同社が運営する地域情報コミュニティサイト「Lococom」に地方農家による野菜や海産物などのEC(電子商取引)を開始した。6月には「健康管理機能」や、インテリジェンスなどとの提携による求人情報を追加するなど、機能と情報の拡充に力を注いでいる。ネクストの取締役常務執行役員 新規事業本部長の板谷 隆一氏に今回の提携の狙い、今後の展望について聞いた。
(聞き手は中村 勇介=日経ネットマーケティング

Lococomはどのようなサイトか。

 当社は不動産ポータルサイト「HOME'S」を提供しているが、Lococomは住まいの情報に限らず、さまざまな情報やコンテンツを提供する目的で開設した。従来の趣味や関心でつながるSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)ではなく、地域という軸を加えたコミュニティサイトだ。約35万人が登録している。

 ネクストは住まいと暮らしの総合ポータルを目指して、「常に革新することで、より多くの人々が“安心”と“喜び”を得られる社会の仕組みをつくる。」という企業理念を掲げている。住まいの情報はHOME'Sが担っているが、生活する上で住まいの情報だけでは安心と喜びを得られる社会の仕組みは作れない。そこでLococomを提供している。

野菜や果物のECを提供する狙いは。

 Lococomは通常のSNSに比べて、主婦の登録が多く(専業主婦比率26%)、安心して購入できる商品への関心が高い。
 今回の拡充に当たっては、50を超える農家などが登録するサイト「ご当地ドットコム」を運営するシステムフォワード(福島県いわき市)と提携した。同サイトは、登録している農家から直接野菜や果物などを購入できるEC(電子商取引)サイトだ。生産者の顔が見え、直接商品を購入できることに魅力を感じたので、同サイトの情報をLococomにも掲載することにした。

Lococomにはどのような機能があるのか。

 一般的なSNS・ブログ機能以外に、家計簿、スケジュール管理、健康管理、地域情報のクチコミ投稿や地域情報のQ&Aなどの機能を提供している。
 また、良質なクチコミ情報の投稿を促すために、「ソーシャルレポーター」というポイントサービスも提供している。ソーシャルレポーターに登録したユーザーがクチコミを投稿し、ほかのユーザーがそのクチコミを参考になったと評価したときに「ロコ」というポイントを付与する。ロコは2000ポイントためると、1ポイント1円として換金できる。

企業はLococomどのように活用しているのか。

 店舗情報のコンテンツ「マチコム」ではリアル店舗を持つ企業が、店舗情報の掲載やクーポンの発行などができる。登録料は無料だ。地域という切り口のサイトなので、(地域密着で営業している)美容院や薬局など、さまざまなジャンルの店舗が登録しているのが特徴だ。今回の農家の情報もマチコムに登録した。

 マチコムには現在、約1300店舗が登録している。(ユニークな例では)ある大手旅行代理店はまず、マチコムを活用して各地の営業所情報の提供した。その後、さらにマチコム登録のデータと自社サイトを連携させて、自社サイトに掲載する営業所情報も拡充させた。その結果、大幅なPV増加に結びついたという。

Lococomのビジネスモデルは。

 広告と、マチコムの有料メニューが収益の中心。マチコム登録企業が月額5250円の有料メニューに登録すると、情報掲載容量が拡大し、メール配信やお得意様限定のクーポン発行なども可能になる。

 夏には、登録企業が商品モニターを募集できる新しい有料サービスも開始する予定だ。

今後の目標は。

 Lococomは提携する企業や活用の次第で新しいビジネスモデルが生まれる。今後もさまざまな企業と提携して、事業を拡大させていきたい。こうした情報や機能の拡充などを通じて、2011年3月末には250万人の会員を獲得することを目標にしている。