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 米ブレード・ネットワーク・テクノロジーズは2008年5月19日、日本オフィスを設立した。同社はブレード・サーバーに搭載するスイッチの最大手。米IBM、米ヒューレット・パッカード(HP)、NECのブレード・サーバー向けにスイッチを販売している。日本担当のカントリー・マネージャに就任した太田安信氏に、同社の取り組みを聞いた。(聞き手は白井 良=日経コンピュータ)

ブレード・ネットワーク・テクノロジーズはどういった会社なのか。

 もともとは、大手通信機器ベンダーであるカナダのノーテル・ネットワークスが2002年に設立した社内ベンチャーだった。2006年にノーテルから分離し、現在の社名になった。

 03年にIBMとHPのブレード・サーバー向けにスイッチを出荷し、06年にはNEC向けにも出荷を開始した。IBMとHPではシェア45%、NECでは59%と高いシェアを持っている。

 現在はブレード・サーバー向けスイッチしかないが、6月からラックマウント型スイッチにも進出する。両者を組み合わせて、データ・センター内で統合的なネットワーク環境を構築できるようにする。

ブレード・サーバー向けスイッチは米シスコシステムズも力を入れている。ブレード社の特徴は何か。

 米グーグルが独自技術を駆使して分散コンピューティング環境を構築しているが、次世代の標準技術を組み合わせることで、ユーザー企業のデータセンターでも同等の仕組みを実現できるようになる。このコンセプトを我々は「Rackonomics」(ラコノミクス)と呼んでいる。

 具体的には、サーバー仮想化ソフトとブレード・サーバーを組み合わせたサーバー仮想化環境に対し、ネットワークからこの環境の拡張性や可用性を支える。例えば、10Gイーサネットによる高速なラック間接続やネットワークの仮想化技術によって、数百台のサーバーをまとめて利用できるようにする。

 このほか、次世代のイーサネット規格「CEE」(コンバージェンス・エンハンスド・イーサネット)や、イーサネット上にファイバチャネルを通す「FCoE」(ファイバチャネル・オーバー・イーサネット)といった新技術の登場も近い。これらの規格に順次対応していき、サーバー間を低遅延、パケット・ロスなしで接続できるようにする。

 最終的には、データセンター内のイーサネットは巨大なコンピュータの内部バスのような存在になる。

サーバー仮想化環境では、物理的な接続と論理的な接続がかい離する。これを運用しやすくする仕組みはあるのか。

 ネットワークを仮想化する「SmartConnect」と呼ぶ機能を提供する。サーバー間の接続やバーチャルLANなどを管理するソフトウエアで、仮想化したサーバーを1つの物理的なサーバーのように扱える。仮想化しないサーバーとの混在も可能だ。ただし、これを利用するには、ブレード・サーバーのスイッチと、シャーシ間をつなぐラックマウント型スイッチの両方が当社の製品である必要がある。

 また、独自にレイヤー2レベルの冗長化技術を導入している。物理的なサーバーが接続するバーチャルLANが異なれば、障害発生時にフェイルオーバーできない。しかし我々の技術では、スイッチ側でサーバーの故障を検知して、フェイルオーバー時に予備機が所属するバーチャルLANを変えるような動作もできる。上位レイヤーの冗長化技術は不安定なことが多い。できるだけ下位レイヤーでフェイルオーバーを実装して、確実かつ0.1秒以下の速さでサーバーを切り替える。