写真●左からアクセンチュアのステファン・ナン グリーンITサービス グローバル統括パートナーと森泰成システムインテグレーション&テクノロジー本部インフラストラクチャ コンサルティンググループ統括パートナー
写真●左からアクセンチュアのステファン・ナン グリーンITサービス グローバル統括パートナーと森泰成システムインテグレーション&テクノロジー本部インフラストラクチャ コンサルティンググループ統括パートナー
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 IT機器の省電力化やIT活用によるCO2削減などを推進するグリーンIT。アクセンチュアは,経営の視点から企業がグリーンITに具体的に取り組むべき方法を提案している。アクセンチュアのグリーンITのキー・パーソンであるステファン・ナン氏と森泰成氏に,グリーンITの最新事情について話を聞いた。(聞き手は中井 奨=日経コミュニケーション)

グリーンITで,企業が取り組むべき課題は。

 現在,多くの企業がデータ・センターの電力消費量増加を懸念している。将来,電力が不足する恐れもあるので,データ・センターの電力消費量を減らすのは企業にとって重要な課題になっている。

 グリーンITを推進する技術の一つが仮想化だ。サーバーやストレージ,ネットワークを仮想化することによって,IT資産の量を減らすことができ,省電力化の効果を期待できる。英国企業でデータ・センター統合によって,CO2を5万6000トンも削減できたという例もある。

 また,データ・センターのグリーンITを推進するために,ITリソースを柔軟に稼働させられるソフトウエアの活用も有効だ。ビジネスの需要にあわせてITリソースを機動的に動かすことができる。

企業がグリーンITに積極的に取り組む意義は何か。

 グリーンITへの意識を組織的に持つことによって,株主価値を高められる。最近では多くの企業が主要パートナーを決定する際に,どれだけ環境への取り組みに熱心かを確かめるので,グリーンITへの対応が進んでいなければビジネス・パートナーに選ばれにくい。また,学生が就職の際に環境に配慮した企業に勤めたいという傾向も見られる。このように,すべての企業にとってグリーンITは欠かせないものであり,もはや避けて通れない。

IT機器の中でも,ネットワーク機器の電力消費量が急増している。ネットワーク機器の省電力化の手段は。

 IT機器には,チップセットの中で必要に応じて電源をオン/オフにすることができるものもある。これらの機器は,処理が行われていないときには電源をオフにすることによって,電力消費の無駄を省いている。現在,こうした技術は主にサーバー製品に搭載されているが,今後はネットワーク機器にも搭載される方向に進むだろう。

IT活用によるCO2削減や省電力も注目されている。実際にどの程度効果があるのだろうか。

 例えば,テレワークによって電車の乗客が減るとどれだけ効果があるのか,との問いもあるだろうが,実際にその効果を測定するのは非常に難しい。ただし,オフィスで電気を使用する人が減るなど,一つひとつをよく見てみると省エネの機会は確実にある。

 また,テレワークはグリーンIT以外にも,地方在住の人を雇用する機会が増える効果もある。グリーンITだけでなく,それ以外の効果を考慮してROIを見きわめる必要がある。