写真●ピーター・レヴィン氏
写真●ピーター・レヴィン氏
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米Citrix Systemsによる米XenSourceの買収完了から半年が過ぎた。仮想化を中心にした、両社の製品統合はどこまで進んだのか。仮想化製品を担当する上級副社長のピーター・レヴィン氏に、これまでの成果や今後の戦略を聞いた。

仮想サーバー・ソフト「XenServer」の特徴は。

 XenServerは、ミッドマーケット指向の製品で、使いやすいことが特徴でだ。これまでのユーザーケースとして、サーバー統合やテスト環境などで利用されている。

XenServer最新版の新機能を教えてほしい。

 最新版は3月末に出たバージョン4.1。まず、アプリケーションの仮想化を実現するCitrix XenApp(旧名称:Citrix Presentation Server)の配下で、より迅速に使えるようにXenServerを最適化した。

 ストレージのインテグレーションも進めている。今回、第一弾としてNetAPPのストレージを仮想環境と緊密にインテグレーションして、一貫性のある形にした。これまでの仮想環境では、スナップショットやレプリケーション、ミラーリングといったストレージ関連機能はホスト側のファイル・システムが担っていた。

 XenServer 4.1ではストレージ・プラグインを提供し、これを通じてディスク・アレイとコミュニケーションできるようにした。アレイが備えるストレージ関連機能を仮想環境からそのまま使えることがメリットだ。ホストのCPUを使わずに処理するのでパフォーマンスも上がる。今後。他のストレージ・ベンダーの製品にも対応していく予定がある。

仮想アプライアンスの盛り上がりで、Provisioning Serverの重要性が増すのでは。

 仮想アプライアンスは、OSやアプリケーションのイメージをイメージ・カタログとしてまとめておく。Provisioning Serverは、イメージ・カタログの作成や配信を担う。次のバージョンである5.1では、OSやアプリケーションに加えてハイパーバイザーもカタログに入る予定だ。

 Provisioning Serverのイメージ・カタログは仮想サーバーだけでなく、物理サーバーに対しても配信できる。現在、新規サーバーのうち仮想環境を構築するのは10%、残りの90%はこれまでと同様の物理サーバー単位の利用だと見ている。仮想環境と物理環境の両方をサポートしているところが、他社に比べた特徴だろう。

Citrix SystemsとXenSource製品の相乗効果は十分か。

 大変よいスタートが切れたと思う。先ほど説明した、Citrix XenAppに向けたXenServerの最適化などが一例だ。5月に出荷予定のXenDesktopは、両社の製品をインテグレーションすることで、最高の仮想デスクトップを提供する。XenDesktopは、いくつかのスタックからなる。CitrixのProvisioning Serverやコネクション・ブローカー、ICAプロトコルなどに、XenServerを組み合わせている。これにより、エンドツーエンドの仮想化を進めていく。

Microsoftと仮想化分野で提携している意味は。

 顧客にとって選択肢が増えることが重要だ。ハイパーバイザーに関しては、ユビキタスであるべきだと考えている。つまり、それがMicrosoftのHyper-VなのかXenServerなのか、私たちはあまり気にしていない。

 例えば、XenDesktopを構成するスタックのなかでハイパーバイザーはどちらの製品を使ってもかまわない。もちろん、スタックを構成する製品がすべて私たちの製品であれば、その組み合わせできちんとテストされているのでベストだと言える。ただ、どの製品を使うかではなく、XenDesktopという統合化されたアーキテクチャこそが顧客にとって価値になると考えている。