NECパーソナルプロダクツ ユビキタス事業開発本部長 栗山 浩一氏
NECパーソナルプロダクツ ユビキタス事業開発本部長 栗山 浩一氏
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 NECが新たに投入するホームサーバー製品「Lui」。自宅にホームサーバーを設置し、サーバー内のコンテンツを別のパソコンから視聴したり、外出先から専用のクライアント端末でサーバーを操作するというコンセプトは、従来のパソコンとは大きく異なっている。開発の経緯や、マーケティング戦略について、開発の責任者であるNECパーソナルプロダクツのユビキタス事業開発本部の栗山 浩一本部長に話を聞いた。

「Lui」はいつ、どのような経緯で生まれたのか。

 検討が始まったのは2~3年くらい前。当時から、数年後に家庭内で扱う動画や静止画などのデジタルコンテンツが急増し、それらの多くがハイビジョンになることが予想できた。

 一方で、無線LANなどの普及で家庭内のネットワーク環境が整うことも予想していた。これらの条件がそろえば、家中のデジタルコンテンツをサーバーで一元管理し、必要なときにネットワークで共有する使い方が現実的になると考えた。こうしてLuiの機能の一つ、家庭内での「コンテンツオンデマンド」の発想が生まれた。

 これにLuiのもう一つの機能、「PCオンデマンド」の発想が加わったのは1年ほど前だ。PCオンデマンドとは、必要なときに必要なだけPCの機能を活用できるようにすること。当社では、外出先から自宅のサーバーにアクセスし、サーバーのパワーやリソースをどこにいても使えるようにしようというプロジェクトが動いていた。このプロジェクトと、先に話したコンテンツオンデマンドのプロジェクトを社内で議論しているうち、「じゃあ一緒にやろう」となってLuiが生まれたのだ。

Luiは今までのパソコンとコンセプトが異なる分、製品の全体像が分かりにくい。

 Luiのクライアント端末は、ノート型の「Lui RN」で649g、ポケットタイプの「Lui RP」で249g。ノートパソコンよりもはるかに小型・軽量だ。薄くて軽い端末を持ち歩き、いつでもどこでもデジタルコンテンツを見たり、コンピューティングパワーを引き出すことを望むユーザーは多いはずだ。

 当面、先進的なユーザーや富裕層を中心に「次世代のパソコンはこうなる」というイメージをアピールしていきたい。このため、広告や店頭ポップなども「VALUESTAR」や「LaVie」といった既存の製品とは一線を画したものにする。

 正直、Luiが広まるのはまだ先だと考えている。Luiは常時ネットワークに接続できる環境が整って初めて役に立つ。しかも、快適に利用するには、高速の通信環境が不可欠だ。普及のカギを握るのは、WiMAXだと考えている。

第1弾の製品が出た。今後はどのように進化させていくつもりか。

 他社とも連携して、Lui対応の製品を増やしていきたい。

 まずは、Luiのホームサーバーに搭載している「PCリモーターサーバーボード」を他社にOEM供給する。これを搭載すれば、他社のパソコンでもLuiのクライアント端末を使用してPCオンデマンドの機能を実現できる。

 ライセンス提供の形を取れば、他社からクライアント端末を出してもらうこともできるだろう。カーナビゲーションシステムや家電、携帯電話など様々な機器にクライアント端末の機能を搭載していきたい。