jig.jp 代表取締役社長  福野泰介氏
jig.jp 代表取締役社長 福野泰介氏
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 ケータイでパソコン向けサイトを閲覧できるフルブラウザーを提供しているjig.jp。2004年10月から提供を開始した「jigブラウザ」は、累計122万人に利用されている。企業によるケータイサイト開設が相次ぐなか、フルブラウザーの役割は今後どうなるのか。代表取締役社長CEO(最高経営責任者)の福野泰介氏に話を聞いた。
(聞き手は原 隆=日経ネットマーケティング

企業によるケータイサイトの開設が相次いでいる。

 企業側がユーザーに情報を届けたいように、ユーザーだって企業から情報を取りに行きたいと思っているのに、なかなか企業側はケータイサイトを作らなかった。そこで、ケータイからパソコン向けサイトを閲覧できるjigブラウザを開発したわけだ。

 ただ、フルブラウザーがあるからといって、企業がケータイサイトを作らないでいい理由にはならない。携帯電話というデバイスに合わせて、伝えやすい形で伝えるのが本来、正しい姿。その面では企業によるケータイサイト開設の動きは歓迎している。

ケータイサイトの普及によってフルブラウザーは不要になるか。

 今後、ケータイサイトが十分に普及したらフルブラウザーの需要はなくなるかもしれないが、現在の動向を見ていると、すべての情報をケータイサイトに掲載しているケースは少ないし、まだまだパソコン向けサイトと比べて進化が足りない。フルブラウザーとしての役割は当面続くだろう。

 ただ、最終的にケータイサイトが普及したら、パソコン向けサイトだろうがケータイサイトだろうがすべて見せるブラウザーとして統合していく。

若年層へのフィルタリング原則義務化によって、(パソコン向けサイトを見ることでフィルタリングを回避できる)フルブラウザーの需要は高まるか。

 jigブラウザは、一般サイトを通じて提供するキャリアと、公式サイトを通じて提供するキャリアに分かれる。NTTドコモやau(KDDI)の場合、jigブラウザは一般サイトから提供するため、フィルタリング規制を受けているユーザーはそもそも利用できない。ソフトバンクモバイルとウィルコムの場合は公式サイトから提供しているが、フィルタリング規制を受けているユーザーはソフトバンクモバイルの場合は利用できず、ウィルコムは利用できる状態。ただし、ソフトバンクモバイルは一般サイト経由で利用できる状態になっている。

 こうした若年層がフィルタリング規制の反動で過剰にフルブラウザーに流れてくることは期待していないし、そもそもjigブラウザの利用者は20代から30代のビジネス男性が多いためダメージもないと思う。