ActionScriptのエキスパートとして数多くの書籍を執筆しているコリン・ムック氏に,Adobe FlashPlayerバージョン9以降で動作するオブジェクト指向のスクリプティング言語「ActionScript3」の特徴とその活用のヒントを聞いた。(聞き手は矢野りん=ライター)
ActionScript(AS)を始めたきっかけは?
10年ほど前,制作会社でWebデザイナーとして働いていました。ある日HTMLでは表現が難しい,ちょっと変わった企画のサイト制作依頼が来て,クリエーティブディレクタがFlashの採用を決めました。でもFlashを使えるスタッフが居なくて。一番ヒマだった私が勉強することになりました(笑)。それがきっかけですね。
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写真1●コリン・ムック氏 |
プログラミングの経験は以前からあったのですか?
JavaScriptやPerlの経験はありました。それより以前,10歳くらいの頃はATARIやBasicでゲームを作って遊んでいましたが。でも大学の頃まで本当に単なる趣味でしたよ。まさかプログラミングでお金がもらえるなんて,思いもしなかった!
そんなプログラミング少年が今ではエキスパートに成長したわけですね。さてActionScriptは今バージョン3を数えています。コリンさんはActionScript3をどのようにとらえているのですか?
かつてActionScriptはあくまでもFlashPlayerのプラグインを制御するためのものでした。そこからAdobeは一歩踏み込んでFlashPlayerの役割を広げる決断をしています。プラットフォームの一部としてFlashPlayerを取り扱うこと,つまりランタイムとして位置付けたということです(注:Adobe AIRのこと)。
FlashPlayerの役割が広がれば,ActionScriptも改良が必要になります。Flashをプラットフォームだと主張するからにはフォーマルなプログラミング言語や,オーサリングツール,速く走るランタイムという条件が求められるはずですから。
そこでActionScript3についてですが,私は今回のバージョンアップのテーマは「大規模なアプリケーションの構築が可能になること」だととらえています。本バージョンでは言語の処理速度が上がる改善がなされていますし,以前のバージョンが抱えていた問題も解消しています。
例えばFlash上にイメージを表示させるディスプレイAPIが,バージョン3では新しく書き換えられています。データとのバイナリソケット接続やフォーマルイベントアーキテクチャ,正規表現に関する機能も新しく加わりました。これらの新機能はプロフェッショナルなプログラマが必要としますし,質の高いアプリケーション作りには不可欠です。