モバイルSuicaの画面。3月以降は「モバイルSuica特急券」がメニューに加わる
モバイルSuicaの画面。3月以降は「モバイルSuica特急券」がメニューに加わる

 JR東日本(東日本旅客鉄道)は3月15日から、携帯電話を使った乗車券サービス「モバイルSuica(スイカ)」のサービスを拡充し、「モバイルSuica特急券」サービスを始める。携帯電話の操作で座席を予約し、携帯電話を自動改札機にタッチするだけで乗車できるようになる。東北、上越などJR東日本の新幹線全線と、JR東海の東海道新幹線で利用できる。

 IT・Suica事業本部企画部の宮田久嗣課長に、新サービスの狙いを聞いた。

モバイルSuicaの会員数(約80万人)は、Suica全体の発行数(約2300万枚)に比べて少ない。

 これまではモバイルSuicaならではのサービスが少なかった。「モバイルSuica特急券」では、窓口に行かなくても携帯電話だけで座席指定から乗車までを完結できる。東京・秋田間の指定席特急料金・運賃を、従来の1万6810円から1万5100円にするなど、お客様にメリットがある価格体系も整えた。これによって、モバイルSuica会員数の伸びが加速することを期待している。会員数100万人を早期に達成したい。

新幹線以外の在来線特急はサービスの対象外になっている。

 新幹線の乗客は、必ず新幹線専用の改札口を通過する。今回、秋田新幹線などの(乗降客数が少ない)駅を含めて、新幹線全駅にSuica対応改札機を配置した。

 在来線の特急の場合、こうした専用改札機がないことがネックになる。(私鉄などで導入されている)携帯電話の画面を特急券として駅員・車掌に提示する方式も考えられるが、それでは紙の切符とあまり変わらない。もう少し先進的なやり方ができないか、検討を進めているところだ。

JR東日本IT・Suica事業本部企画部の宮田久嗣課長
JR東日本IT・Suica事業本部企画部の宮田久嗣課長

モバイルSuicaを巡っては、クレジットカードからのチャージ(入金)の際に約1000万円に上る不正利用が発生し、問題になった。

 チャージ上限金額を制限したり、通常はあり得ないような不正利用のパターンを監視したりといった対策を既に講じている。クレジットカード承認の厳格化などは、外部との連携など情報システムの整備や、お客様の利便性との兼ね合いもあり、今後の課題だ。

 モバイルSuicaのシステムは利用者が列車に乗って実際に移動することが設計の前提にあった。Suicaは換金性が低く不正利用のメリットは少ないと考えており、こうした事態は想定外だった。今後はもっと対策を講じなければならない。