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インタビュー

ITpro

クラウド・コンピューティングにも中立的なプラットフォームが必要

米Limelight Networks会長兼CEO
Jeff Lunsford氏

2007/12/13
中田 敦=ITpro

 米Limelight Networksは,動画配信サービス「Amazon UNBOX」のほか,ソーシャル・ネットワーク・サービスの「Facebook」やゲーム機向けオンライン・サービス「PLAYSTATION NETWORK」「Xbox Live」におけるコンテンツ配信を支えるCDN(Content Delivery Network)事業者である。米Googleのようにネットワークのすべてを自前でまかなうインターネット事業者の勢力が増している中で,CDN事業者に活路はあるのか。Limelight Networksの会長兼CEOであるJeff Lunsford氏に戦略を聞いた。(聞き手は中田 敦=ITpro編集)


 Limelight Networksは,2001年に創業した後発のCDN事業者です。なぜインターネット・バブル崩壊直後という最悪の時期に,Limelight Networksが創業したのか。経緯を教えてください。

米Limelight Networks会長兼CEO Jeff Lunsford氏
米Limelight Networks会長兼CEO
Jeff Lunsford氏

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Lunsford氏:創業者がビジョナリだった,ということでしょう。

 2001年当時,オンラインでコンテンツを配信するコストは,今よりも20倍以上高い水準でした。これこそが,インターネット・バブルが弾けた原因でした。「Facebook」や「YouTube」のような事業を興そうにも,コンテンツ配信コストが足かせになっていたのです。

 今では,われわれのようなCDN事業者の努力もあって,コンテンツ1Gバイトを数ドルで配信できるようになりました。Limelight Networksは,「Web 2.0」を作る上で,多大な貢献をしていると思っています。

 CDN事業者という視点で見ると,Limelight Networksのライバルは米Akamaiになることでしょう。でも私は,あなた方CDN事業者のライバルは,Akamaiのような同業者ではなく,米Googleや米Amazon.com,米Microsoftのような,コンピュータ・クラウドを自前で運用して,垂直統合型のメディア・ビジネスを展開している事業者だと思います。

 彼らの強みは自社でコンピュータ・クラウドを運用していることであり,そこにCDN事業者が入る余地はありません。また,すべてのコンテンツがGoogleのような企業に一元化するようになると,メディア企業が独自にコンテンツを配信することも無くなり,CDN事業者のビジネス・チャンスは減少するかもしれません。

Lunsford氏:鋭い視点ですね。確かに世界は,マッシブ・コンピューティング・ユーテリティ(ユーザーがユーテリティとして使える巨大なコンピューティング・パワー)が存在する世界へと進化しようとしています。Googleのような巨大なコンピューティング・プラットフォームに,今後さらに様々なサービスが追加されていくでしょう。

 しかし,世界が望んでいるのは,中立的なプラットフォームです。

 Googleは,広告収入をベースにコンテンツやサービスを提供するというアジェンダを作りました。Amazonはeコマースのプラットフォームを作りました。しかしGoogleやAmazonは,中立的な存在ではありません。彼らは成功しているし,技術的なリソースも豊富に抱えていますが,彼ら以外の中立的な存在も求められています。

 われわれLimelight Networksは,真の意味での中立的なプラットフォームを目指しています。そして,コンテンツ・デリバリ・ビジネスに特化しています。コンテンツ・デリバリは,今後も成長が見込める分野ですから,われわれも成長できると信じています。

 日本法人のライムライト・ネットワークス・ジャパンの社長である塚本信二さんは,最近までマイクロソフト日本法人で,オンライン広告事業を統括されていましたね。マイクロソフトは果たして,中立的なプラットフォームになれると思いますか?

日本法人の塚本信二社長:マイクロソフトのWindows Live事業は,中立的なプラットフォームを目指していました。また,同社が広告ビジネスに真剣に取り組んでいるのも事実です。

 ただ,オンライン広告は,これから大きな進化を遂げようとしています。広告のサイズは年々大きくなって,テレビCMに近いリッチな広告も配信されるようになっています。これらのリッチな広告を配信するためにも,われわれのようなCDN事業者の存在が大きくなると考えています。

 メディア企業としてのGoogleの強みは,自前でコンピュータ・クラウドを運営していることだと感じています。メディア企業は,コンピュータ・クラウドを自前で運用すべきなのでしょうか。それともCDNのようなサービスを使うべきなのでしょうか?

Lunsford氏:ビジネス・スクールで教えている基本的な哲学になりますが,「コア」と「コンテクスト」を切り分けて考えることが重要になるでしょう。

 あなたがもしメディア企業であるならば,メディア・ビジネスに特化すべきです。素晴らしいコンテンツを作ることが「コア」であって,世界中にどういうサーバーを配置してコンテンツを配信するかは「コンテクスト」に過ぎません。

 賢明な会社は,コンテクストはアウトソースして,外から調達するものです。もし世界に向けてコンテンツを配信するのならば,そのインフラを自前で作るのではなく,他のユーザーも使っているインフラを共有すべきです。

 ゲーム会社も,素晴らしいゲーム・タイトルを作るのに特化して,ネットワーク構築をアウトソースする傾向にあります。オンライン・ゲームを提供する上では,グローバル・ネットワークの構築といったスキルが必要ですが,ゲーム会社にはそのスキルはありません。ゲーム会社にとってコアはあくまでゲーム・ソフトなのですから,それ以外は外部から調達する方がいいのです。

 ところでLunsfordさんは,もともと米国海軍で戦闘機のパイロットをされていたそうですね。それなのにどうして,IT業界に転身されたのですか?

Lunsford氏:私が操縦していた「F/A-18C(通称ホーネット)」は,「フライング・コンピュータ」と呼ばれていました。コンピュータにかかわり続けているという点では,今も昔も変わりませんよ。


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