「Youbuy」は、E-BUY(神奈川県横浜市)が提供する多言語対応ECモール。出店可能な言語は日本語、英語、中国語、韓国語、スペイン語、ポルトガル語、ドイツ語、イタリア語、ロシア語、トルコ語の10カ国語あり、出店者は自分が扱える言語を選んで出店することができる。ECサイトの運営者は日本在住の外国人や海外といった新たな販路を拡大できるメリットがある。

 既存のECモールが遅れていた「外国語対応」。ここに目を付けたのはトルコ出身のアイディン・ヤヒヤ代表取締役、オズジャン・メテハン取締役 CTO(最高技術責任者)、そしてこの事業に出資を決めたベルマク・アイヤン取締役会長の3人だ。Youbuyの狙い、そして今後の展開について話を聞いた。

聞き手:原 隆=日経ネットマーケティング,高橋 暁子=フリーライター


9月にYoubuyをオープンしたが、現状は。

Youbuy ベルマク・アイヤン取締役会長
Youbuy ベルマク・アイヤン取締役会長

アイディン・ヤヒヤ氏:Youbuyでは、出店に際して専門的知識がなくても誰でもネットショップを構築できるように、テンプレートを用意しています。当然オリジナルのデザインでも構築可能です。ショッピングカート機能や、商品登録、管理機能、注文・受注機能、販売促進機能などももちろん多言語で提供しています。サポート体制についても充実しており、店舗構築の際のデザイン、クリエイティブのサポートから、ヘルプデスク、多言語対応のための翻訳サービスやネットプロモーションメニューなども用意しています。

 Youbuyでは既に、トルコのカーペットショップ、インドの紅茶ショップ、日本の木造家具や源氏物語カレンダーショップなど、エキゾチックで個性あふれる店舗が次々と誕生し、好評を博しています。

経営陣の中心はトルコ出身だが他国に先駆けてまず日本でYoubuyを始めた理由は。

アイディン・ヤヒヤ氏:日本が非常に大きいマーケットだからです。日本はインターネットの普及率が極めて高く、楽天市場をはじめとするECモールがたくさんあり、ビジネスを始めるに当たっては極めていい環境です。しかも、こうした巨大なECモールが外国語対応という点に目を付けていない。このタイミングは重要だと思いました。トルコではまだECモールすらない状態ですので。

Youbuy アイディン・ヤヒヤ代表取締役
Youbuy アイディン・ヤヒヤ代表取締役

 現在、日本国内では200万人以上の外国人が暮らしていますが、英語を母国語とする人たちは少数派で、大半が中国語、韓国語、ポルトガル語などの非英語圏の国で占められています。日本でも近年、これらの市場は注目されてきています。既に2カ国語が利用できるサイトも登場しつつありますが、日英2カ国語ということが多く、ECモールにはまだそのようなサービスは登場していません。ましてや英語以外の言語での情報は皆無なので、私たちはそこにビジネスチャンスを見いだしました。

 また、私たちは日本に帰化していたり、妻が日本人だったりと、日本にはとても縁が深いのです。まずは日本でYoubuyを開始し、年内にはトルコでも開始したいと考えています。日本、トルコ、そしてロシアなどにも徐々にビジネスを広げていきたいと考えています。

日本でのビジネスには難しい面もあるのでは。

オズジャン・メテハン氏:日本のビジネス環境は独特なので、正直競争は厳しいだろうという認識はもちろん持っています。ただ、例えば日本の大手ECモールが手を出していない海外対応という点では、余地が残されていると思います。

 世界を見てみると、電気製品などを売り出す際に、日本というマーケットでまず試してみるという傾向があります。つまり、日本はそれだけ大きく重要なマーケットということです。そのように、日本だけに着目してもビジネスができてしまう状況なので、その中のニッチなマーケットでも十分に可能性があると考えています。日本できちんとビジネスとして成功し、ブランドを作れれば、世界に打って出られるチャンスがあると考えています。