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プラットフォーム化がSaaSの未来をもたらす米セールスフォース・ドットコム 共同創業者 テクノロジー統括責任者 パーカー・ハリス氏SaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)専業最大手である米セールスフォース・ドットコムは、ありとあらゆるソフトをサービス化するための基盤作りに未来を賭けている。同社で技術統括責任者を務めるパーカー・ハリス氏にその狙いを聞いた。(聞き手は中村 建助)
単にSaaS事業を展開するだけでなく、PaaS(プラットフォーム・アズ・ア・サービス)、つまりサービスとしてのプラットフォームを提供していく方針だ。
PaaSありきで展開しているわけではない。過去9年にわたってSaaS事業を手掛けるなかで、さまざまな顧客の要求に答えてきた。その過程でPaaSに乗り出すことになった。現在は、CRM(顧客情報管理)のSaaS事業が収益の中心だが、将来はプラットフォームのビジネスからも収益を上げて行くつもりだ。
9年にわたって努力し続けてきた
PaaS事業を手掛けていくうえでの優位点はどこにあるのか。 競争力のある独自の技術を持ち、そしてその技術をビジネス・モデルとして成立させたこと。さらに過去9年間にわたって、SaaSに焦点をあてて顧客に貢献してきたことだ。技術面でいえば、開発言語やユーザー・インタフェースを含めたアプリケーションのカスタマイズ性の高さ、欠陥のないアップグレード、アプリケーションの処理性能の高さを実現していることになる。 ビジネス・モデルの違いは顧客に対する姿勢の違いにもつながる。当社のビジネスは毎月の利用料が売り上げになる。既存のソフト・ビジネス異なり、継続して顧客の満足を考えつづけるモデルだ。成功を共有するものということもできる。
アプリケーションとプラットフォームの2種類の事業を両立するのは難しい。 現実に、マイクロソフトはこの2つのビジネスをうまく両立させている。それに当社には、アプリケーションをサービスで提供する優れたパートナーなどもいる。
今後のどういった点を強化するのか。 すでにデータベースやロジック、ユーザーインタフェース、アプリケーションをつくるためのプラットフォームも提供している。今、顧客やパートナーが望んでいるのは、テストから本番稼働までの作業や、パートナーが提供するサービスのアップグレードをいかに簡単にしていくかということだ。 アプリケーションのパッケージングの方法や開発でのチーム・デベロップメントのあり方も支援していきたい。1996年にJavaが登場したとき、素晴らしい技術であることは分かったが、使いやすいものになるには時間がかかった。これと同じことだ。
日本では、信頼性や性能の面でSaaSやPaaSを利用することに不安を感じる企業が多い。 むしろ信頼性を重視する企業こそ当社のサービスを利用することを検討すべきだ。SaaS事業を手掛けるなかで、当社は信頼性と可用性、セキュリティの実現に全力を尽くしてきた。24時間利用できるサービスを全世界で3万5000社以上の顧客に提供している。 企業からすれば、ITの一部をアウトソーシングするわけだから、パートナーとして可能な限り情報を共有することも心掛けている。例えば、trust.salesforce.comというサイトを設けてシステムの稼働状況などを公開している。
自社でシステムを運用したい企業もある。 すべてを自社で管理したい大企業が「ソフトウエア」を使いたいということがあるのは事実だ。ただそれは情報システム部門の意見であることが多い。本当に重要なのは、どんな技術を使っているかではなく、自分たちの本業にいかに集中できる環境を作るかではないだろうか。 SaaSを使えばそれが可能になる。ソフトのバージョンアップやメンテナンスに労力を割くことは、企業にとって意味のあることではないはずだ。
次世代のSaaSはどうなっていくのか。 情報システムの世界は、メインフレームからクライアント/サーバー(C/S)システム、SaaSを含むオンデマンドの時代へと変化してきた。オンデマンド・モデルはメインフレームに似ているところがある。クライアントの処理能力をあまり使ってないことだ。次世代の“SaaS2.0”では、もっとデスクトップを使うことになるだろう。
SaaSでもデスクトップの役割が拡大する現在のブラウザを補完する技術に注目している。インターネットに接続していない状態でサービスを利用可能にする、米アドビシステムズのAIRや米マイクロソフトのSilverlightなどがそうだ。 アドビは最近、企業買収によってAIR上で動作するOfficeアプリケーション・サービスのBuzzwordを手に入れた。マイクロソフトの OfficeやBuzzwordのようなサービスを組み合わせた文書管理が一般化することも考えられる。いわゆるSaaSアプリケーションにとどまらず、企業の情報共有のあり方が大きく変わる可能性がある。
独SAPや米オラクルなどの参入でSaaSビジネスの競合が激しくなっている。 既存のソフトのライセンス販売とSaaSのビジネスを同じ会社が両立させるのは簡単ではない。SAPやオラクルは“イノベーションのジレンマ”に直面しているのではないか。 SaaSビジネスを手掛けることはできるだろうが、既存資産や既存顧客との関係を整理するのは難しい。両社とも、本当にオンデマンドで成功する力があるかどうかまだ証明できていないと思う。 現時点で、オンデマンドの業務アプリケーションの分野では、当社にとって本当に手強い競合というのはまだ存在していない。すべてのサービスをオンデマンドで提供している米グーグルなどの方が、むしろ気になる存在だ。 連載新着記事一覧へ >>
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