10歳代~20歳代を中心に743万人(2007年9月末時点)の会員を集める携帯電話向けSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の「モバゲータウン」。企業が若者向けマーケティングに活用する例も増えている。モバゲータウンを運営するディー・エヌ・エー(DeNA)の今後の戦略と注目するネットマーケティング手法を、取締役ポータル・コマース事業部長の守安功氏に聞いた。

聞き手:杉本 昭彦=日経ネットマーケティング

DeNAが注目しているネットマーケティングの技術、手法は何か。

ディー・エヌ・エー 取締役ポータル・コマース事業部長 守安功氏
ディー・エヌ・エー 取締役ポータル・コマース事業部長 守安功氏
 

 我々がどっぷり浸かっているということもありますが、ケータイの広告市場が拡大し、期待が高まっていると感じています。バナー広告に加えて、検索連動型広告、コンテンツ連動型広告など、パソコン向けでは2、3年前から伸びていた分野がケータイでも伸びてきました。当社で実施するゲーム内広告や、コンテンツと絡めた手法なども、ナショナルクライアントを含めて反響が大きくなってきています。

伸びている背景をどう理解すればよいか。

 検索連動型広告は昨年、KDDIが「au」のトップページで始めたのを手始めに、ソフトバンクモバイルやNTTドコモも始めています。同広告の売り上げが急激に伸びており、それにあわせてコンテンツ連動型広告も伸びていると感じています。

 また、2、3年前はナショナルクライアントが公式サイト以外に広告を出稿することは考えられませんでした。モバゲータウンはユーザー数を集め、事例が増えてきたので、ナショナルクライアントから目を向けてもらえるようになりました。モバゲータウンのユーザーは10歳代後半が多い。その世代の半分以上がモバゲータウンのユーザーということになり、マスメディアに匹敵するか、それを超えるリーチができます。パソコンではそこまで効果的なものはありません。

最近のモバゲータウンを活用した広告事例は?

 モバゲータウンのユーザーは、ゲームやアバター(ネット上の分身)などを好むエンタテインメント志向を持っており、それに絡めた広告が広がっています。広告主に関連したゲームやアバターを提供することで、ユーザーにとっても価値があり、多くの人に使ってもらえる広告ができています。

 リアル店舗との連動も出てきました。ユーザーは広告主の店舗でIDを受け取り、それをモバゲータウンで入力するとアバターがもらえます。ケータイはほかのメディアと連携しやすいので、今後事例を積み上げていきたいと思っています。

ネット広告は、「ページビューや利用者数は分かるが、結局売り上げに結びついたかが分からない」という声も多い。どんな効果指標を提供しているのか。

 目的によって指標は異なるでしょう。認知度を上げたいのか、直接売りたいのか。本当に販売につなげたいのであれば、買ったらデジタルコンテンツを渡すインセンティブを与えるのが適しているでしょう。公式サイトのCP(コンテンツプロバイダー)であれば入会数が分かります。