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インタビュー

「製品価格だけで騙されるな,TCOを考えよ」---メール・サーバー製品の市場調査

日川 佳三=ITpro 2007/09/14 ITpro

 メッセージング分野を中核とする新興技術を主な対象とした市場調査会社の米The Radicati Group。同社は,ユーザー企業16社のメール・システムのTCO(Total Cost of Ownership)を調査した。9月12日,来日していた同社社長兼CEO(最高経営責任者)のSara Radicati博士(Ph.D.)に,メール・システムのTCO調査結果を聞いた。



米The Radicati Groupで社長兼CEO(最高経営責任者)を務めるSara Radicati博士(Ph.D.)
[画像のクリックで拡大表示]

メール・システムのユーザー調査を実施したそうだが,どのような調査だったのか。

 メールを使っているユーザー企業16社に取材し,メール・システムの導入コストや運用コストなどを調査した。

 TCOの比較対象としたメール製品は(1)米IBMの「Lotus ND6」(Notes/Domino),(2)米Microsoftの「Exchange Server 2003」,(3)米Sun Microsystemsの「Sun ONE」,(4)米Mirapointの「Message Server」の4種類だ。

 それぞれのメール製品を開発するベンダー4社にTCO調査をするという意向を伝えた上で,代表的なユーザー企業を数社ずつ紹介してもらった。取材調査したユーザー企業の数は,Lotus ND6ユーザーが4社,Exchange Server 2003ユーザーが4社,Sun ONEユーザーが3社,Message Serverユーザーが5社だ。

 ユーザー企業はいずれも,米国の経済誌『Business Week』に掲載される時価総額上位1000社「Global 1000」(グローバル1000)に載っている普通の会社である(表1)。メール製品の使い方は典型的であり,調査結果は十分に参考になるだろう。

表1●4製品のユーザーの平均値
  Lotus ND6 Exchange Server 2003 Sun ONE Mirapoint
社員数(ITpro推定) 1万2544人 2万1912人 3万1662人 6120人
サーバー台数 56台 44台 6台 5台
サーバーあたりのユーザー数 224人 498人 5227人 1224人
専任管理者 7人 1.88人 3人 0.28人
兼任管理者 3人 1.75人 7人 0.02人
ヘルプデスク要員 6人 9.75人 9人 2.12人

調査結果から導き出される教訓を教えて欲しい。

 調査結果(表2)から分かる代表的なポイントは2つある。1つは,Mirapointのメール製品は安いということだ。事実,11項目の比較すべてにおいてMessage Serverは最安価な製品である。もう1つは,TCOは初期導入コストや管理コストなど個々のコスト要因だけでは推測が難しく,トータルで考えなければならないということだ。

表2●調査結果 (ユーザー1人あたりのコスト)
  Lotus ND6 Exchange Server 2003 Sun ONE Mirapoint
初期導入(メール・ソフト) 51.07ドル 59.29ドル 16.00ドル 15.47ドル
初期導入(インフラ) 548.58ドル 450.39ドル 251.03ドル 101.69ドル
保守契約(メール・ソフト) 10.21ドル/年 14.82ドル/年 4.00ドル/年 1.86ドル/年
保守契約(インフラ) 109.72ドル/年 90.08ドル/年 50.21ドル/年 12.20ドル/年
運用管理 12.56ドル/年 22.17ドル/年 18.00ドル/年 8.32ドル/年
マイグレーション/アップグレード作業 3.61ドル/年 5.70ドル/年 2.33ドル/年 0.67ドル/年
ストレージ(ユーザーあたり30Mバイトを想定) 5.70ドル/年 10.50ドル/年 14.60ドル/年 3.80ドル/年
システム障害による被害 98.00ドル/年 37.25ドル/年 53.03ドル/年 26.26ドル/年
教育(エンドユーザーを除く) 6.85ドル/年 2.20ドル/年 0.46ドル/年 0.06ドル/年
3年間平均のTCO(インフラを含まない) 150.55ドル/年 107.02ドル/年 96.42ドル/年 45.51ドル/年
3年間平均のTCO 406.56ドル/年 317.21ドル/年 213.57ドル/年 87.54ドル/年

 TCOの測定では,興味深いデータが得られた。例えば,Lotus ND6とExchange Server 2003を比較すると,メール・ソフトの導入コストや保守コスト,日々の運用管理コストなどのような分かりやすい指針においてはLutus ND6が勝るが,ハードウエアにかかるコストや人員のトレーニングにかかるコスト,システム障害によるコストなど分かりにくい部分でコストがかさみ,結果的にTCOではExchange Server 2003に負けるという結果になった。

コストを決定付けている直接の要因はメール製品の製品的特徴(アーキテクチャや機能や価格)にあると言い切れるのか。企業文化などの違いはないのか。Lotus ND6を使っている企業がMirapoint製品にリプレースするだけで,TCOが下がるのか。

 製品の特徴の違いが,そのままコストを決定付けていると考えてよい。例えば,Lotus ND6やExchange Server 2003は,日常的にはあまり使わない機能が豊富だ。こうした機能にコストをかけるかどうかという判断は,企業文化に依存している。逆に,同じ製品を使う企業同士は,それほどTCOに差は出ない。Lotus ND6を使っている企業は,Mirapoint製品にリプレースするだけで,TCOが下がる。

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