パナソニックAVCネットワークス社 ITプロダクツ事業部の高木俊幸 事業部長
パナソニックAVCネットワークス社 ITプロダクツ事業部の高木俊幸 事業部長
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Let's noteシリーズ天面のデザインは、堅牢性を優先させた結果という
Let's noteシリーズ天面のデザインは、堅牢性を優先させた結果という
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 軽量、タフ、長時間駆動――これらのキーワードで、モバイルノートの分野を牽引してきたのが松下電器産業。発売当初から基本デザインがほとんど変わらない「Let's note」には松下のモバイルノートに対する考えが詰まっている。その詳細をITプロダクツ事業部の高木俊幸事業部長に聞いた。

■まずは松下のパソコン事業について説明を

 松下のパソコン事業は、モバイルに特化してきた。特に、ビジネス環境でハードに使うユーザーをターゲットにしている。Let's noteは量販店でも販売しているが、そこで購入するユーザーも結局はビジネスでモバイルノートを使う人がほとんどだ。

 現在は、10.4型液晶を搭載した「Rシリーズ」、12.1型の液晶を搭載した「Tシリーズ」、12.1型の液晶で光学ドライブを搭載した「Wシリーズ」、14.1型液晶で光学ドライブ、フルキーボードを搭載した「Yシリーズ」の4モデルを出している。このうち、主力はWシリーズ。販売台数の約半分を占めている。

 もともと松下のパソコンは悪くはないが飛び抜けたものもないという感じだった。そこで最初にRシリーズを作った。拡張性はあえて犠牲にし、軽量、長時間駆動に特化したモデルだ。これが好評を得て、飛び抜けた製品は特定のユーザーに強く支持されることを認識した。ただ、法人営業先に持って行くと「この重さでもうちょっと画面が大きければ……」とか「光学ドライブがあればいいのに」といった要望が必ず出る。それらの要望を踏まえ、Rシリーズの液晶を大きくしたTシリーズ、光学ドライブを付けたWシリーズ、フルキーボードを搭載するYシリーズとラインナップを充実させた。

■Let's noteのこだわりのポイントは何か

 モバイルノートにとって、軽くて、長時間駆動というのは大前提だろう。その上で、タフということを一貫して重視してきた。天板と液晶の間にスペースを作る「ボンネット構造」やパームレストの下に格納するシェル型の光学ドライブを採用したのもタフさを求めたゆえだ。

 モバイルノートの堅牢性は一般的なノートのレベルではダメだと思う。毎日持ち歩いていれば、たまに落とす、ぶつける、コーヒーをこぼすといったことが起こりうる。ユーザーの使用環境を調べると、想像以上に厳しい。そのため、Let's noteでは実際の使用環境を想定し、それに耐えられる製品を目指している。

 その一例が、100kg重の加圧振動試験の実施だ。これは満員電車を想定している。研究員が実際に満員電車に測定器を付けて乗ってみたところ、車中では鞄に100kg重の圧力がかかり、その状態で左右に揺られることが分かった。

 バッテリー駆動時間もただ長さを追求するだけでなく、「エコノミーモード」を搭載するなどの工夫をしている。エコノミーモードとは、バッテリーの充電量を80%に抑えることでバッテリー寿命を延ばす機能だ。これを利用すれば、バッテリーの耐用年数は通常の2年から3年程度に伸びる。バッテリーパックの買い換えを先送りできるのはユーザーにとってメリットが大きいだろう。

■最近では他社からも軽くて堅牢なモバイルノートが登場しているが

 競合他社がどういった製品を作ってくるかなどはあまり考えていない。あくまでもユーザーの要望や不満の声を聞き、それを解消することに努めている。その姿勢が受け入れられたのか、最近はビジネスユーザーだけでなく、新たにパソコンを購入しようという一般ユーザーからも引き合いが増えてきた。大学などが学生に薦めるパソコンとしてLet's noteを挙げてくれる例もあるようだ。

■モバイルノートでは薄型が流行だが、デザインについての考えは

 デザインやコンセプトはなるべくシンプルにし、基本的に変えない。デザインを変えると、少し前の機種がどうしても古くさく見えてしまう。長く使ってもらうために、前の機種が古いという印象を与えるのは避けたいからだ。

■今後、海外市場にはどう取り組んでいくのか

 BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)の市場には興味がある。まずは、堅牢パソコンのシリーズ「TOUGHBOOK」から売り込みたい。工事現場など、今までパソコンを使えなかったような過酷な場所でも使える。通常のモバイルノートよりも強みをアピールしやすいだろう。