NovellとMicrosoftの提携,Oracleの参入など,Linuxディストリビューションをめぐる競争が激しさを増している。また大規模システムへの適用が進むにつれ,品質とサポートへの要求は厳しくなっている。最大手の米Red Hatはどのように対応しようとしているのか。ワールドワードマーケティングおよびエンタープライズソリューション担当副社長のTimothy Yeaton氏に聞いた(聞き手は高橋 信頼=ITpro)。



NovellとMicrosoftの提携による影響は。


Red Hat 上級副社長 Timothy Yeaton氏
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 この3月に発表した決算を見る限り,影響はありません。

 両社の提携は主に相互運用性に関するものだったと思います。相互運用性にはアプリケーション・レベル,ユーザー・レベル,システム・レベルの3つがあります。我々はアプリケーション・レベルではJBoss,ユーザー・レベルではNetscape Directory Service,システム・レベルではSambaなどに注力しています。

米OracleがRed Hat Enterprise Linuxをベースにした「Unbreakable Linux」のサポート・サービスを開始しました。日本でも夏にも始まる予定です。

 こちらもこれまでのところ特に大きな影響はありません。我々の前四半期の売り上げは20%以上伸長しています。

 競合相手が我々と同じようなサポートを提供できるかどうか。今のところは,できないのではないかという声を聞いています。

Unbreakable Linuxが騒がれていますが,Red Hat Enterprise Linux互換のディストリビューションとしてはCentOSがあり,すでに広く使われています。

 CentOSは,RHEL(Red Hat Enterprise Linux)から,著作権に触れないようにRed Hatのブランドを除いて複製したものです。同様なアプローチをとっているディストリビューションは多数あり,世界中に80以上あるかもしれません。

 こういったディストリビューションがどういう影響があるかを考えるよりも,我々はがこれまでやってきたことに注力していきたいと考えています。これまでやってきたリリースモデル,サポートを改善していきます。

 要は顧客にとって何が価値があるかです。特に問題が起きたときに対応できるかどうか。例えば仮想化技術は,きちんと投資をして開発なければ理解できません。我々はXenの開発に投資し貢献しており,これによって顧客にきちんとしたサポートを提供できると考えています。

日本では特に,中堅・中小企業のサーバーとしてはWindowsが大きなシェアを持っています。

 どの国であっても,中堅・中小企業のユーザーは技術を勉強したいとは思いません。シンプルで使いやすいことが重要で,まさにそれがMicrosoftが長年やってきたことです。今回は我々はそれをAdvantage Platformでやろうとしています。我々は製品からソリューションへとシフトしていきます。使いやすさの面を改善すれば,価格面ではアドバンテージがあります。

 また日本では特に,チャネル・パートナーと協力していく必要があると理解しています。中堅企業向けパッケージを持っているパートナーとも連携していきたいと考えています。