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 減ることを知らない迷惑メール。今やインターネットのメールの8割は迷惑メールといわれるほど。海外ではフィッシング詐欺やスパイウエアといった迷惑メールが多いが、日本では出会い系の迷惑メールが主流になっている。

 2007年1月に迷惑メールを送っている送信業者を震撼させた事件があった。出会い系の迷惑メールを送っていた業者が逮捕されたのだ。捜査を担当した千葉県警警察本部生活安全部生活経済課サイバー犯罪対策室の小谷均警部に話を聞いた。

■逮捕されたのはどのような業者か。

 東京都池袋にある、出会い系のサービスを行っていた「タクミ通信」という会社だ。実行役の社員など社長を含め4人を逮捕した。

■逮捕容疑は。

 「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」の違反だ。迷惑メールの悪質化により2005年に法律が改正されて、悪質な迷惑メールを取り締まれるようになった。例えば架空アドレスあてのメール送信の禁止や、送信者情報を偽った形での送信の禁止などだ。今回の事件では、こうした改正内容をフルに活用している。

■具体的にどんな迷惑メールを送っていたのか。

 出会い系の迷惑メールだ。例えば「あなたを希望している女性を紹介いたします」とか「○○といいます。気軽に楽しいお付き合いができればと思ってメールしました」などの内容で不特定多数にメールを送りつけていた。

 驚くのはその送信数だ。この会社では中国の黒竜江省のビルに128台のパソコンを設置して、遠隔操作で迷惑メールを送信していた。送信数は1日約9000万通というとてつもない数字だった。2006年の7、8月には合計で約54億通もの迷惑メールを送信していたようだ。もっともこの業者は「もっと悪い業者もいる」と話しているが。

■どうやってアドレスを入手していたのか。

 一番多いと考えられるのは名簿業者からの購入だ。また、インターネットを自動で検索してメールアドレスを探すプログラムも活用していたようだ。

■どれくらいもうかるものか。

 今回の事件では、1カ月で約1億2000万円もの収益があったようだ。この会社ではほかの業務なども特に手がけておらず、ほぼ出会い系のみでこれだけの収益をあげていたと考えている。

■事件による影響は。

 逮捕の直後には、迷惑メールが一時的にせよ減少したと聞いている。法律の整備によりここまでやれるのかというのを業者が知ったことで、業者に対する警鐘になったと考えている。