Webベースのリッチクライアント型アプリケーション開発ツール「Nexaweb Enterprise Web 2.0 Suite」を開発・販売する米ネクサウェブ。株価情報などのリアルタイム・データの表示や作業工程表などの業務管理など、BtoB(企業間)向けアプリケーション開発市場での事業拡大を目指す。今後の展開について同社COO(最高執行責任者)のデイビッド・マックファーレン氏に聞いた。


Nexaweb Enterprise Web 2.0 Suiteの特徴は何か。


米ネクサウェブCOOのデイビッド・マックファーレン氏
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 Nexaweb Enterpriseは、Java、Ajax、XMLといった標準技術を使い、クライアント側に特別なソフトなしにリッチクライアント型のアプリケーションを開発するためのツール群だ。Webベースのアプリケーションの実行環境と開発ツールなどからなっている。開発したアプリケーションは種々のクライアント環境で利用できる。データ通信のセッションを管理することで、ミッション・クリティカルなリアルタイム通信のアプリケーションも開発可能だ。

パソコン以外、例えば、携帯電話機などには対応しているか。

 携帯電話機がJavaやXMLに対応していれば、技術的にはすぐに対応できる。ただ、携帯電話機の場合、通信会社が異なるために共通のプラットフォームがないのが現状だ。当社は通信会社にとらわれない共通プラットフォームがまず必要だと感じている。現在、大手通信会社と共同で、携帯電話機向けのリッチクライアント型アプリケーションや共通プラットフォームを研究中だ。

 携帯電話機向け開発環境は、Nexaweb Enterpriseをベースに検討している。携帯電話機向けとパソコン向けに共通のコンポーネントを用意することで、それぞれのアプリケーションを別々に開発していた手間を省ける。プラットフォームが共通のため、開発者は画面のデザインを変えるだけで、通信会社に依存することなしに、携帯電話機やパソコンに同じアプリケーションを開発できるようになるはずだ。

 2007年中には研究開発成果をまとめる。研究結果と携帯電話機向け製品のニーズを考慮して、携帯電話機向けのオープン・プラットフォーム提供とアプリケーション開発用製品の提供時期などを決める方針だ。現時点ではビジネス展開は未定だが、かなり有望な市場と見ている。

日本でのNexawebの導入状況はどうか。

 すでに、三菱東京UFJ銀行が法人向け外国為替取引システムに、アメリカンファミリー生命保険会社が代理店向け保険料紹介システムに、日本電子計算機が金融・証券向け業務支援システムなどに、それぞれ採用している。

 日本市場では今後、BtoB向け製品だけでなく、携帯電話機向け製品の展開も視野に入れ、3年程度で年間5億~10億円の売り上げ規模を目指す。さらに日本を中心に、中国や韓国などのアジア地域にビジネスを展開させたい。