米ブレケケ・ソフトウエアは、2002年に山出 晋氏が米国カリフォルニア州で起業したソフトウエアIP-PBXベンダー。同社が開発したIP-PBX「OnDO PBX」および「OnDO SIP Server」はWindows 2000/XP、Linux、Solarisで稼働。Javaによる開発キットを提供するなど、アプリケーションとの連携市場を狙う。(聞き手は大谷 晃司=日経コミュニケーション)
——ブレケケの製品ラインアップは。
IP-PBXソフトの「OnDO PBX」と、このPBXのサブセットであるSIPサーバー「OnDO SIP Server」がある。これから伸びそうな製品が「Brekeke JTAPI SDK」。これはIP-PBXの機能をほかのアプリケーションから使うためのJavaによるAPI(注:JTAPIはJava telephony APIの略)。顧客からの要望が非常に多かったため、それに応えた製品だ。
Brekeke JTAPI SDKは、OnDO PBXやOnDO SIP Serverのユーザー以外も使えるという特徴がある。Brekeke JTAPI SDK自体がPBXの各機能を含んでおり、SDKだけである程度のことが実現できる。SDKが備えている機能は、コールを受ける、転送する、DTMF(dial tone multi frequency)を認識する、コールの録音、ガイダンスを流す、会議など。これらを外部のアプリケーションから使える。
ちなみに、米国でのIP電話システムのシェアは、シスコシステムズ、アバイア、ノーテル、アルカテルといった順。ブレケケが対象とする中小企業向けに限定すると、3Com、アルカテル、ノーテルが強い。
——アプリケーション連携の具体例は。
顧客からは、Webブラウザ上でクリックして電話をできるようにしたい、という要望は多い。いわゆるクリック・ツー・コールは必須である。
コール・センターだと、顧客からの電話を最適なオペレータに転送する、といった要望もある。最適なオペレータというのは、手が空いている(通話していない)のはもちろん、その顧客に一番よい対応ができるという意味もある。米国では自動的にリストからお客さんを選んで発信し、つながったらガイダンスを流すようなアプリケーションがある。お客さんをどのように選ぶかなどに、アプリケーションが威力を発揮する。
これらの要望に応えるために、いちから音声をアプリケーションに組み込む開発をするのは困難。だが、JTAPI SDKがあればアプリケーション開発者は簡単に音声機能を組み込める。Javaを使えるプログラマは非常に増えている。JTAPIのような形で提供すると、ユーザー企業でも開発できるところはあるだろう。実際、JTAPI SDKを出すことを当社のWebサイトに掲載したら、問い合わせが急増した。顧客の期待の高さが伺える。
——日本のマーケットへの対応は。
企業向けIP電話の導入は、日本の方が進んでいると感じている。だが、日本のお客さんの要望に応えるには、かなりカスタマイズが発生する点は、世界のマーケットとは異なる点だ。
コール・センターのユーザーで、このような例があった。通常、電話がふさがっているときに、次の電話がかかってくると、PBX側でボイス・メールに切り替えてしまう。これでは、日本のお客さんは満足しない。電話がふさがっていても、かかってきた電話はすべて待機状態にすることが求められる。つまり、顧客に、電話をかけなおさせるだけでなく、“つながるのを待つ”という選択肢を用意する必要がある。
OEM先がかかわった事例なので名前は出せないが、日本ではブレケケのOnDO PBXをベースにして開発した2000端末規模の事例がまもなく出てくる。その企業はBrekeke JTAPI SDKを購入しており、自社の業務アプリケーションと音声を連携させるようだ。
——OnDO PBXと同じIP-PBXソフトであるオープンソースのAsteriskはどう思うか。
Asteriskはオープンソースだが、われわれもフリーの試用版を配って、多くのフィードバックをいただき、製品の完成度を上げてきている。そういう点ではオープンソースのAsteriskにも共感できる。OnDO PBXは他のプロプライエタリな製品に比べれば、こうしたフィードバックを得て開発を進めており、IP電話サービスとの相互接続性なども高い。Asteriskもこの点は同じだろう。
IP電話の世界も、IT関連製品と同様に、大企業の1社独占的な囲い込みという時代ではなくなってきていると感じる。せっかくIPネットワークになったのだから、いろいろな機器をつなぎたい、というユーザーの声が大きくなってきたのではないか。