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ブロードバンド時代到来に考えた(2002年秋)

2005/09/28
沖電気工業
情報通信事業グループ
インキュベーション本部
eおとプロジェクト
薄葉 伸司 沖電気工業
情報通信事業グループ
インキュベーション本部
eおとプロジェクト
薄葉 伸司


通信事業者向けの宅内装置の開発をようやく終えた。ブロードバンドの普及が始まり、そこで何ができるのかを模索することになった。

写真1 2002年下期の沖電気のVoIP製品群ロードマップ
写真1 2002年下期の沖電気のVoIP製品群ロードマップ
 発覚した新規デバイスの欠点への対策などの苦労を何とか乗り越えて、2002年10月、通信事業者向けIP電話機器の開発は、ますます加速していった(写真1)。間違いなく、フルIP、フルブロードバンドが加入者宅まで張り巡らされる、それもそう遠くない未来に。そう確信したのはこのころであった。

 では、加入者宅まで桁違いのスピードが提供されたとき、なにが生まれ、どんなことが起こるのであろうか。私たちは、今の開発だけをただ追いかけていればいいのだろうか。熱い夏の苦労を乗り越え出荷にこぎつけた宅内装置を見つめながら、そんな思いが頭をよぎっていた。

 VoIPの本当の潜在能力、それはまだ世間一般には認識されていないが、自分には分かっている、という自負があった。その能力を引き出し、顕在化させたい。ブロードバンド時代にふさわしい、新たなVoIP技術というものがきっとあるはずである。通信キャリア向けの宅内装置の順調な出荷により市場実績は増えたものの、開発に携わるものとしては一種の焦燥感のようなものを感じるようになっていた。

写真2 毒島君のプロジェクト・メンバーの一人であった有野雅美さん
写真2 毒島君のプロジェクト・メンバーの一人であった有野雅美さん
 そのころ信号処理を担当していた青柳も、同じような思いを感じていたことを知り、新たな技術的な方向感を確立すべきという思いがますます強くなった。平日の夜遅くや休日に、私は青柳と検討を重ねた。開発チームは、ますます多忙を極めていたが、毒島君はじめ自律的なプロジェクトになっていたこともあって、この検討に身を入れることができた(写真2)。その結果、私たちは二つの仮設をたてたのである。

「グヌーテラ」による巨大交換機仮説

 まず第1の仮説は「グヌーテラによる巨大交換機仮説」である。

 当時「ナップスター」と「グヌーテラ」の二つがファイル共有技術として話題になっていた。私達が注目したのは、このうちより純粋なPtoP技術を使っていたグヌーテラの方である。ネットワークがけた違いに高速になると、数珠繋ぎに通信しても時間はかからないことから、小さな単位のものをブロードバンド回線ループ上につなぎ合わせることで大きなシステムをシームレスに作りだすことができるのではないかと考えた。

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