LinuxCon Japan 2014では、3日間で80以上のセッションが設けられた。Linux Torvalds氏は「Linux:Where Are We Going」と題して、米Intel社のChief Linux and Open Source Technologist、Dirk Hohndel氏と対談。会場からの質問に答える形で進められた(写真1、2)。

写真1●Linus Torvalds氏
写真1●Linus Torvalds氏
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写真2●Dirk Hohndel氏との対談の様子
写真2●Dirk Hohndel氏との対談の様子
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 最初にTorvalds氏は、Linuxカーネル開発の好調ぶりを強調した。「ここ何年も、2カ月半から3カ月のペースで頻繁にリリースできている。開発のペースは速く、コミュニティーは円満だ」と胸を張った。

 また開発体制として、メンテナーの重要性に触れた。3700人もの開発者が全員、開発したパッチをTorvalds氏に直接送ったとしたら、開発は立ち行かなくなる。そうしたパッチを集めてコメントし、マージしてくれるメンテナーが不可欠である。Torvalds氏は、「Linuxが技術者からの信頼を維持できているのは、深い階層を持ってメンテナーが組織化されているからだ」と説明した。

「ノー」と言える信頼関係

 話は、Torvalds氏自身の性格やコミュニティーにおける人間関係にも及んだ。Hohndel氏は、「年を取って丸くなってきたという声もあるが、Linuxにはもっと優しい指導者が必要ではないのか」と冗談混じりに尋ねた。Torvalds氏が、大人気ないといわれるほどの厳しい発言をコミュニティー内で繰り返しているのは有名な話だ。

 Torvalds氏は、「思いやりがあって優しい人もいれば、皮肉っぽい議論好きな人もいる。私はコミュニティーの全員を大好きなわけではないし、私を好きではない人もいる。コミュニティーは人のネットワークだから、それでいい」と話した。