2015年~2016年におけるHPC技術の動向を知る上で重要となるのが、メモリーの階層化だ。

 現行のHPCでは、プロセスの微細化によるプロセッサ当たりコア数の増加などにより、プロセッサ当たりの演算性能は成長を続けている(図1)。

図1●次世代HPCプロセッサのロードマップ
図1●次世代HPCプロセッサのロードマップ
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 この結果、プロセッサの演算性能よりむしろ、メモリーやインターコネクトといったインタフェースの性能が、実アプリケーションの処理性能を大きく左右するようになった。

 スーパーコンピュータ(スパコン)の性能ランキング「TOP500」を主催する米テネシー大学のジャック・ドンガラ氏は「HPCの処理性能のボトルネックは、プロセッサの演算性能からメモリーやインターコネクト性能に移った。この結果、TOP500のベンチマークと実アプリケーションとのかい離が広がった」と認める。ドンガラ氏は今、メモリーやインターコネクト性能を重視する新ベンチマークの立ち上げに奔走している。