クラウドやビッグデータなどの新しいコンピューティング環境、および従来の企業システムにおける各種ワークロードに幅広く対応できるよう、Red Hat Enterprise Linux 7(RHEL 7)ではさまざまな機能が強化されている。そのうち、ここではユーザーや開発者から注目されているクラウド構築基盤のOpenStackやアプリケーション配信基盤のDocker、動的なファイアウォールのfirewalldについて説明する。

RHELとOpenStackを統合

 Red Hat社は、IaaS(Infrastructure as a Service)レベルのクラウド基盤構築ソフト「OpenStack」を提供している。正式名称は「Red Hat Enterprise Linux OpenStack Platform」(RHELOSP)。名前から分かるように、RHELとOpenStackを統合したものである。

 2014年7月16日時点でのRHELOSPのバージョンは5であり、OpenStackの「Icehouse」というバージョンがベースになっている。RHELと同レベルのQA(品質保証)を提供し、さらに米国での製品出荷日から3年のサポートを提供する。クラウドコンピューティングの活用が重要なテーマとなっている中、プライベートクラウドを構築するソリューションとしてRHELOSPは大きな注目を集めている。

アプリ配備基盤のDockerを搭載

図4●ハードウエアレベルの仮想化とOSレベルの仮想化
図4●ハードウエアレベルの仮想化とOSレベルの仮想化
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 RHEL 7には、コンテナー技術を利用したアプリケーション配備基盤の「Docker」(ドッカー)も搭載されている。KVMやXenなどが物理サーバー上に仮想マシンを作り出す「ハードウエアレベルの仮想化」であるのに対し、コンテナーはOSを仮想化してOS上に隔離されたOS(実行環境すなわちコンテナー)を作り出すことから「OSレベルの仮想化」といわれている(図4)。なお、コンテナーはユーザープロセス空間を分割して、それぞれの区画の中でアプリケーションを動作させる。各区画は互いに独立しており、干渉し合うことなく複数のアプリケーションを安全に動かせる。