総務省のICTサービス安心・安全研究会内の消費者保護ルールの見直し・充実に関するWG(ワーキンググループ)が2014年6月30日、中間取りまとめ案を打ち出した(関連記事:クーリングオフもSIMロック解除も義務化へ、総務省の消費者保護WG)。通信サービスを対象にしたクーリングオフ制度の導入を後押しし、販売奨励金の高騰を招く遠因となっているSIMロックについても、解除をルール化する方針を打ち出したという。

 これまでもSIMロックについては、総務省が2010年に「SIMロック解除に関するガイドライン」を策定し、SIMロック解除をキャリアに求めていたが、その取り組みは限定的だった。キャリアはこれまでSIMロック解除に大きなニーズがないとしていたが、WG内では市場に任せるのではなく、規制により対応すべきものという指摘があったという。

 SIMロックフリー化の焦点になりそうなのは、日本国内で高い人気を誇り、2013年から主要3キャリアがすべて扱うようになった米アップルの「iPhone」だろう。キャリアは独自の料金や下取りキャンペーンなどで囲い込みを図ってきただけに、今後のビジネスに大きく影響しそうだ。

 携帯電話事業者ごとに通信方式や上位レイヤーサービスが大きく異なっていたかつての環境は、LTEの拡大やスマートフォンの普及によって大きく変わっている。それなのにSIMロックの解除が進まないなど、昔ながらの携帯電話業界の約束事が維持されてきた。消費者保護の観点から長年続いたルールを見直すことで、さらなる競争の促進や利便性の向上を期待したい。