「パブリッククラウドのスピーディーさを取り込みつつ、自分たちの独自の良さを持つプライベートクラウドを作る」。みずほ銀行では、正木聡氏(IT・システム統括第一部 共通インフラ推進チーム 参事役、写真)率いる共通インフラ専任組織を立ち上げ、本格的なプライベートクラウド「みずほクラウド」の企画・開発・運用を進めている。2014年3月に、第一弾のアプリケーションが稼働し、徐々に搭載アプリケーションを広めているところだ。

写真●みずほ銀行 IT・システム統括第一部 共通インフラ推進チーム 参事役 正木聡氏
写真●みずほ銀行 IT・システム統括第一部 共通インフラ推進チーム 参事役 正木聡氏
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 みずほクラウドのシステム基盤には、IBM Power Systemsを本番用に3台、開発・災害対策用に3台、計6台で構成。これらにストレージシステムを接続し、仮想マシンから柔軟に仮想ストレージを利用できるようにしている。すべてのシステム状態は、統合運用管理ソフトで一元的に管理する。

 これによるメリットは大きく2点。一つは、コスト削減だ。個別にサーバーを立てていく従来の場合と比較し、サーバー費用とシステム構築費用の合計が5割超削減できる。もう一つは、サーバーの構築スピード。利用部門から依頼を受けて3日でシステムを稼働できるようになっている。

 ただ、一気にここまでの仕組みを実現できたわけではない。この共通インフラは、第2世代。第1世代を構築したのは2009年ごろだ。当時、UNIXサーバー上にLPAR(論理パーティション)を組み、60台のサーバーを2台に集約する形を採った。この段階ではCPUやメモリーのリソースと仮想マシンが固定化されたもの。第2世代では、CPUやメモリーを柔軟かつ動的に仮想マシンに割り当てられる。

 さらに第2世代の構築では、デプロイ(配布)ツールを使い、自動で運用環境を構築できるようにした。そのために、各種標準化を実施。セキュリティやクラスター設計など、これまでアプリケーションごとに仕様を定めていたものを、あるパターンとして標準化し、デプロイツールで容易に運用環境まで作れるようになった。

 2年強の時間をかけ、共通インフラとして必要な機能や体制は整えた。正木氏が率いる共通インフラ推進チームの役割も変わろうとしている。「これからはアプリケーションの適用範囲を広げ、自信を持って使いこなしていけるようにしていく」と正木氏は述べる。

 「ITインフラSummit 2014」では、みずほクラウド構築に当たっての課題や課題解決のためのアプローチ、そしてみずほクラウドの概要を正木氏に解説してもらう。ぜひ参考にしていただきたい。