ヘッドハンティングされ、今年1月に花王からLIXILに移られました。現在の心境はいかがですか。

LIXIL 執行役員 CIO兼IT推進本部本部長 小和瀬 浩之氏
(写真撮影:北山 宏一)

小和瀬 LIXILでの実績はまだゼロですが、早くもCIO(最高情報責任者)として抜てきしてもらいました。プレッシャーはありますが、それよりもやりがいを感じています。

 今年1月に着任してからは、現状の把握に多くの時間を割きました。花王での経験がありますから、製造業の業務についてはそれなりに精通していますが、住宅設備の業界のことは知りません。この点について情報を収集し、ほぼキャッチアップしました。やるべきことを整理し、優先順位を決めたところです。

直近の優先課題は何ですか。

小和瀬 ご存じの通りLIXILは、トステムやINAXなど5社を統合してできた会社です。ところが現状は、国内だけをとっても、基幹業務を支える仕組みが統一できていません。藤森(本誌注:LIXILグループの藤森義明社長)はグローバル経営を志向していますから、基幹系システムの統一は避けて通れません。グローバル経営を実現するためには、世界共通の情報基盤が必要だからです。

花王時代に、一体運営を支える世界共通の基幹系システムの構築を牽引した手腕を買われ、LIXILに引き抜かれました。花王と同じような手法でプロジェクトを進めるのですか。

小和瀬 基本的にはそう考えています。ただし、藤森の期待に応えるには、花王時代の何倍ものスピード感を持って物事を進めなければなりません。

「自分でなければできない」と信じる

 花王では日本流というのでしょうか、各国拠点での小さな成功体験を積み重ね、ボトムアップ型で10年ぐらいかけてシステムを統一しました。それをLIXILではトップダウンで、迅速に進めなければならない。花王で10年かかったことを、その2分の1もしくは3分の1ぐらいの期間でやらなければ、経営トップや周囲の期待に応えられません。