CIOに就任して早々、小和瀬氏は「システム部門としての任務には「三つの柱がある」と部員に告げた。データプロセッシング、ビッグデータ活用、社内コンサルティングである。データプロセッシングは、オペレーションを合理的に進めるためのシステム整備で、L-One構築がこれに当たる。だが、ITインフラの開発・運用だけでは、任務を全うしているとは見なさない(以下、太字は小和瀬CIOの発言)。
システム部員は、データにコンテクスト(文脈)を付けて、インフォメーション(情報)を提供する役割を担う。そのためには、ビッグデータ分析の領域に関するスキルや知識を身に付ける必要がある。
システム部門は全ての業務にタッチできる立場にあるので、各部門に業務プロセスの全体最適化を図るための提案をすることも大事。「業務知識を磨こう」と部員に伝えている。
「三つの柱」が使命、業務知識や分析力も
グローバル企業の潮流はデジタル経営に舵を切ること。世界で戦うには、ビッグデータ分析やデジタルマーケティングなど成長に直結するようなIT活用が急務だ。これらの領域での貢献なくしては、「システム部門の存在価値はない」と小和瀬氏は考える。
業務知識の習得は、システム部員にとって“永遠の課題”で容易ではない。だが小和瀬氏は、自身の経験から「できる」と断言する。
普段はシステム部門のフロアにいて、トラブルがあったときだけ現場に行く、という態度では業務知識など身に付かない。花王時代は、システムを導入したら現場に行って、「自分の作った仕組みが現場にどう役立っているか」を実際に目で確かめるようにしていた。