LIXILが、花王のシステム部長だった小和瀬浩之氏(50歳)をCIOにヘッドハントしたことは、業界で話題となった。

LIXIL 執行役員 CIO兼IT推進本部本部長 小和瀬 浩之氏
LIXIL 執行役員 CIO兼IT推進本部本部長 小和瀬 浩之氏
(写真:北山 宏一)

 CIOが有名企業を渡り歩く─。欧米の企業社会では、昔からごく当たり前のことだ。例えば、プロのCIOとして以前から有名なランディ・モット氏。同氏は米ウォルマートのCIOとして、サプライチェーン管理システムの構築プロジェクトなどでリーダーシップを発揮。1997年には米国のインフォメーションウィーク誌の「CIO of the Year」に選出されるなど、高い評価を受けた。手腕を買われて、2000年に米デルのCIOに就任。その後、米ヒューレット・パッカードのCIOとして、データセンターの集約やシステム統合などを推進した。

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LIXILの主力製品の一つであるトイレ「サティス」
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 実は日本のユーザー企業が、外部からCIOを連れてくる例は、これまでにも存在した。だが“一本釣り”されるのは、大手のITベンダーやコンサルティング会社の出身者というのが通例だ。

 他社のシステム部門で実績を上げた日本人を、日本の大手ユーザー企業がCIOとして招聘するのは前例がなかった。LIXILが小和瀬氏を招いたのは、国内初の“事件”なのである。

 LIXILグループは、米ゼネラル・エレクトリック(GE)出身の藤森義明社長の下、グローバル経営を加速。海外事業を拡大するため約5000億円を投じて、ドイツの住宅用機器大手グローエや、米衛生陶器最大手アメリカンスタンダード、イタリアの建材大手ペルマスティリーザを買収した。