ビジネスブレイン太田昭和
会計システム研究所 所長
中澤 進

 IFRS(国際会計基準)周りで、久々に大きな動きがあった。IFRSの策定主体であるIASB(国際会計基準審議会)と、米国会計基準の策定主体であるFASB(米国財務会計基準審議会)による合同プロジェクトの“目玉”である収益認識基準が2014年5月29日に公表されたのである。

 おりしも日本においては、通称「J-IFRS」「日本版IFRS」の検討が終盤に差し掛かり、公開草案が公表間近となっている。これら二つの事象から、これからの日本におけるIFRSの動きを考えてみたい。

収益認識基準の公表
~米国基準となるIFRS

 IASB/FASB合同プロジェクトによる新たな収益認識基準であるIFRS第15号(顧客との契約から生じる収益)は、2017年1月1日以後に開始する事業年度から適用される。早期適用も認められる。

 この合同プロジェクトは、2002年にIASB/FASBが実施したノーウォーク合意にその原点がある。2006年には、IFRSとUS GAAP(米国会計基準)とのコンバージェンス(収斂)を目的とした合同プロジェクト「MoUプロジェクト」を開始した。2011年6月の完了を目標として、企業結合や金融商品、財務諸表の表示、無形資産、収益認識など11基準を対象に協議を重ねた。

 しかし、IASB/FASBを取り巻く環境の変化もあり、収益認識、リース、保険、金融商品の四つについては2011年という目標を守れず、2014年になっても協議が続いていた。今回、収益認識について、3年の遅れがあったものの、IFRSとUS GAAPとのコンバージェンスが完了したわけである。