「確かにちょっと高いかもしれない」――。6月25日に開催した新料金プラン「カケホとデジラ」の会見で、KDDIの田中孝司社長は思わずこんな本音とも受け取れるコメントを漏らした(関連記事:KDDIが新料金プラン「カケホとデジラ」を発表、大容量では他社より割安に)。

 田中社長が「高いかも」としたのは、音声通話の定額料金。この日、KDDIは、NTTドコモ、ソフトバンクモバイルに続いて音声通話のかけ放題プランを発表したが、3社とも月額2700円(税別、以下同)の横並びとなった。

 月2700円という料金水準は、携帯電話での通話機会の多いユーザーにとっては非常に割安と言えるだろう。しかし、あまり電話をかけないユーザーや、主にLINEなどのアプリで無料通話を利用する機会の多いユーザーにとっては魅力的な料金とは言いがたい。

 KDDIは既存の料金プランも当面の間は継続する見込みとしているので、すべてのユーザーがこの定額プランを利用しなければいけないわけではない。ただ、もう少し料金水準が低かったら食指が動くユーザーがもっと増えるのではないだろうか。

 3社の定額プランは、基本的に通話時間や通話回数に制限がない(通話が長時間に及ぶ場合は切断される可能性がある)。このため、他社回線との通話には従量課金の接続料が必要になる通信事業者にとっては、定額料金をあまり安価に設定すると大きなリスクとなる。そのあたりをトータルに勘案した結果が、月額2700円という金額なのであろう。

 ただ、3社以外では、基本料とは別のオプションプランではあるものの、イー・アクセスの「だれとでも定額 for EM-S」(携帯電話向け、月額1334円)や「だれとでも定額」(PHS向け、月額934円)という低料金なかけ放題サービスもある。これらのプランでは、それぞれ1通話当たり10分以内で300回、同500回という制限を設けている。制限とはいえ、これで十分なユーザーも少なくないだろう。

 「ちょっと高いかも」などと言いながら他社と横並びのサービスを始めるのではなく、携帯電話大手3社には、様々な工夫で他社と差異化しながら、少しでも安い料金を模索していただきたいものである。