SoThree共同創業者のIan Mendiola氏(写真=室川イサオ)
SoThree共同創業者のIan Mendiola氏(写真=室川イサオ)

 「私は過去に合計3回、起業に失敗した。そのいずれも共同創業者選びでの失敗だった」。英語のニュースを朗読するアプリ「Umano」の開発を手掛ける米SoThreeの共同創業者、Ian Mendiola氏(写真)は2014年6月18日、都内で開かれた「FailCon Japan」でこう話した。

 Mendiola氏の1回目の起業は2010年。エンジニアとして、米グーグルや米マイクロソフトに勤めた経験のあるMendiola氏は、信頼できる友人の紹介である人物と知り合った。その人物はエンジニアではないので技術には明るくなかったが、ビジネススキルの持ち主だった。「ハングリーで起業家精神に満ち溢れていた」(Mendiola氏)。出会って意気投合したMendiola氏は、その人物と共同で起業し、安全に異性とデートの約束を取り付けるサービスを開発することにした。

 しかし、起業早々からつまずく。システム開発に追われるMendiola氏に対し、共同創業者はやることがなかったからだ。「その当時は、(最小限の機能でサービス提供を始めて、徐々に機能を追加する)リーンスタートアップという考え方がなかった」(Mendiola氏)。このため、Mendiola氏は完全なサービスを目指し、夜を徹して開発を続けた。その間、共同創業者は十分な睡眠を取っていた。両者の関係は徐々に悪化。サービスをリリースしても、ユーザーはほとんどつかなかったこともあり「その事業を続けるやる気をなくした」(Mendiola氏)。

事業のゴールを共有できなかった

 2回目の起業は、1回目の企業の約半年後。今度の共同創業者はエンジニアだった。「エンジニアと一緒に起業すれば、2倍のスピードでコーディングできる」とMendiola氏は思い、そのエンジニアと組んだ。

 確かに開発作業は前回の起業よりも楽になった。ただ、前回と同様、サービスの開始当初はユーザーがつかなかった。今回はそのことを想定しており、徐々に機能を追加しようとMendiola氏は考えていた。ここに共同創業者との認識の違いがあった。

 2回目の共同創業者は、継続的に機能を改善しようという考えが希薄だった。それどころか、なるべく早く事業を別の企業に売却しようとばかり考えていた。「事業に対するゴール設定を共有できていなかった」(Mendiola氏)。こうして2回目の起業も失敗する。