パソコンのコモデティ化が進み、価格も大きく下落している。そんな中でも、製品のしっかりとした立ち位置を確保し、傍目から見ても元気なのがパナソニックの「Let's note」だ。ビジネス向けモバイルの市場に特化した先見性があったのは言うまでもないが、それは多くの失敗から学んだ結果だという。割り切ったコンセプトで激動の市場をくぐり抜けてきたパナソニックは、パソコンの今後をどう見ているのだろうか?

 タブレットやスマホが勢いを増すモバイルの世界でパソコンが生き残っていけるのか、Let's noteの開発にも長く携わってきた瀧野光史氏にお話を伺った。(本文敬称略)

Let's noteがビジネス向けモバイルに的を絞った経緯を教えてください。以前は、色々なパソコンを出されていたと記憶しています。少々疑問に感じるのは、そもそもパナソニックが家電などでマスを狙っている企業だと思うからです。Let's noteは、御社の他の製品とはコンセプトが大きく違っているのではないでしょうか。

パナソニック AVCネットワークス社 ITプロダクツ事業部 国内営業グループ コンシューマ総括兼第三営業チーム チームリーダー 瀧野光史氏(撮影:大亀 京助)。
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瀧野 確かに、以前は色々なパソコンを製品化していました。テレビパソコンを手がけたり、AVパソコンもやってきました。コンシューマーを狙った事業戦略を立ててきたのですが、後発ということもあってうまく入り込めませんでした。そんな状況でも、北米ではヘビーデューティー仕様の「TOUGHBOOK」で事業を成立させていたのです。こちらは、まさに専用の業務マシン市場です。非常に限られた市場とはいえシェアを取れているところに、事業戦略が見えてきたのです。

 そこで、国内でも同じようにやっていこうと決断しました。国内ではA4ノートパソコンが全盛の時代に、我々はビジネス用モバイルに絞り込んだのです。この領域では、ユーザーの『お困りごと』を解決するためにテクノロジーを導入していくというコンセプトです。