仮想マシンの性能は、物理マシンの性能を超えられるの?

(イラスト・アニメーション:岸本 ムサシ)

  今回の回答者:
ヴイエムウェア
ストラテジックアライアンス
シニア テクニカル アライアンス マネージャ
齋藤 康成

 仮想マシンの実効性能が物理マシンの性能を超えることは、基本的にありません。仮想マシンで動くOSは、仮想化ソフトがその仮想マシンに設定した仕様(CPUやメモリー容量など)を自身の動作環境だと認識します。この仮想マシンの仕様には、その下で稼働する物理マシンの性能を超えた設定にできる項目があります。しかし実際の処理は物理マシンが行うので、仮想マシンの実効性能は物理マシンを超えられないのです。

 仮想マシンの仕様を、物理マシンの性能を超えた設定にすることを「オーバーコミット」などといいます。オーバーコミットには2つのケースが考えられます。(1)「仮想マシン1台の仕様が物理マシンを超える場合」と、(2)「全部の仮想マシンの仕様を足すと物理マシンを超える場合」です。

 (1)では、物理マシンの性能を超える作業を行うと、設定した仕様通りの実効性能は得られません。

 (2)では、すべての仮想マシンがフル稼働すると性能低下が起こります。しかし、ファイルサーバーのような用途では、仮想マシンに設定した仕様のせいぜい1~2割程度しか使わない場合がほとんどです。このようなケースでは、性能低下は起こりません。

 1台の物理マシン上で動く仮想マシン同士が、メモリー領域やネットワークの帯域を取り合った場合、仮想マシンを管理するハイパーバイザーが調整を行います。例えばネットワークでは、仮想マシン単位で優先順位を付けたり、帯域を制限したりします。