M2M(マシンtoマシン)を題材にしたよくある内容と思い読み進めたが、よい意味で期待は裏切られた。本書はインターネットに接続された機器(IoT)がソーシャルネットワークに参加することで、革新的な価値やエコシステムを生むことを「ソーシャルマシン」と定義。その可能性を語るほか、実際のソーシャルマシンのプロダクトデザインからマーケットインに至るまでの実用的な手法も語った内容だ。

 著者はオープンソースを使った家電とWebプラットフォームのスタートアップ企業の創業者。まず「ソーシャルマシン」という概念が面白い。「あなたのTwitterを次にフォローするのは自宅の冷蔵庫かもしれない」と指摘し、これまでM2Mという枠で考えていた発想が限定されたものであることを気付かせてくれる。本書はこのように多くの「気づき」を与えてくれる内容で、IoTの真の可能性を捉えたい人は必読と言える。

ソーシャルマシン


ソーシャルマシン
ピーター・センメルハック 著
小林啓倫 訳
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス発行
1512円(税込)