2014年6月以降、日本のネットサービスを狙った不正アクセス事件が相次いで発生している()。攻撃の手口が「リスト型アカウントハッキング(リスト型攻撃)」である点が共通している。

 直近3週間ほどで、ドワンゴ(ニコニコ動画)とミクシィに対するログイン試行回数は延べ800万件弱、そのうち実際にログインされた件数は合計50万を超えた。今後、他のサービスにも被害が広がる恐れがある。「パスワードの使い回しをやめる」といった対策が急務だ。

表●不正アクセスを受けた企業の例
企業名(記事へのリンク)発表日試行回数不正ログイン数
LINE2014年6月12日非公表303
ドワンゴ2014年6月13日
(6月17日)
約220万
(約355万件)
約22万
(約29万5000)
ミクシィ2014年6月17日約430万約26万
はてな2014年6月20日約160万2398
サイバーエージェント2014年6月23日約230万3万8280

ニコ動では10回に1回の割合でログイン“成功”

写真1●不正アクセスについて注意喚起するドワンゴ(ニコニコ動画)の画面
写真1●不正アクセスについて注意喚起するドワンゴ(ニコニコ動画)の画面
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 リスト型アカウントハッキングとは、他のサービスへの不正アクセスなどを通じて入手したIDとパスワードのリストを悪用し、標的とするサービスへの不正ログインを試行する攻撃のことだ。

 例えば、「niconico(ニコニコ動画)」を運営するドワンゴ(写真1)の場合、2014年6月13日までに約220万回の不正ログイン試行を受け、21万9926アカウントの不正ログインが“成功”した。単純計算で10回に1回程度の割合でログインできたことになる。

 いったん不正ログインが成功すると、本人になりすまして操作されてしまう。実際、19アカウントで「ニコニコポイント」約17万円分が不正使用される被害が出た。加えて、生年月日やメールアドレスなどの個人情報を閲覧されたり、本人になりすましてコメントを投稿されたりした可能性もある。