コーチ・ユナイテッドの有安伸宏代表(写真=室川イサオ)
コーチ・ユナイテッドの有安伸宏代表(写真=室川イサオ)


 「ユーザーの価値を考えずにシステム構築に着手した結果、全く使われない機能を実装してしまった」。個人レッスンの先生を探す「Cyta.jp(咲いたジェイピー)」を運営するコーチ・ユナイテッドの有安伸宏代表(写真)は2014年6月18日、都内で開かれた「FailCon Japan」でこう話した。

 コーチ・ユナイテッドのCyta.jpは、楽器や語学などの先生を探すためのサービス。ユーザーはサイト上で先生を探して予約したり、代金を支払ったりできる。現在、200種類の講座が全国5000会場以上で開かれている。「モノのEC(電子商取引)は米アマゾン・ドット・コムや楽天など強いプレイヤーがいるが、サービスのECを目指している。サービスのECは競合が少ないブルーオーシャンだと考えている」(有安氏)。

 有安氏の話す失敗談は仮説検証を怠ったことである。起業時の成功例と対比して説明した。

 日用品大手のユニリーバ・ジャパンでマーケティングを担当していた有安氏が、コーチ・ユナイテッドを起業したのは、梅田望夫氏の著書『ウェブ進化論』を読んだことがきっかけだった。その中で出てきた、販売数の少ない商品であっても、数多くそろえると全体の売り上げに貢献するという「ロングテール」という概念に目が止まった。そこで、有安氏は「知識や経験もロングテールだ」と気付いたという。

 例えば、英会話教室やピアノ教室は世にたくさんある。しかし、話す人が少ない語学や演奏する人が少ない楽器は、どうやって学習すればよいのだろうか。そうしたロングテール分野のレッスンを集めればビジネスになるのではないか。このように考えた。