16ビットパソコン登場、「98」が国民機に

 1981年から1982年にかけて、パソコンの世界は大きく変化した。16ビットパソコンの登場だ。

 各社が16ビットパソコンを発売する中、頭一つ抜け出たのは、後に「国民機」と称される「PC-9800」シリーズ(98シリーズ)の初代機「PC-9801」である(図1)。特徴は、既に多くのユーザーを獲得していた8ビットパソコン「PC-8800」シリーズのBASICに対して上位互換性を保ったこと。PC-8800のソフト資産を生かせるようにした。加えてNECでは、98シリーズ用の新しいソフトを開発するために、ソフトメーカーに対して手厚く支援したとされる。

●初代機「PC-9801」と全盛期を築いた「VM」
図1 日本電気(NEC)が最初に発売した16ビットパソコン初代「PC-9801」(左)と、最大のヒット製品「PC-9801VM」(右)。PC-9801のCPUは「8086」で、ディスプレイや漢字ROMなどは別売。PC-9801VMはインテル互換の独自CPU「V30」を搭載。漢字ROMを標準で組み込み、アナログRGBで640×400ドット、4096色中16色を表示できるようになった
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●16ビットパソコンが続々、PC-9800の時代に
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 高性能な16ビットパソコンの登場で、ビジネスや個人生活が大きく変わることが予想された。パーソナルコンピューティング時代の到来だ(図2)。当時注目されていたパソコン活用の一つが、日本語文書の作成(図3)。「一太郎」をはじめ多くのワープロソフトが発売され、日本語文書作成の環境が整ったことが、パソコンの普及を後押ししていた。

●「パーソナルコンピューティング」の世界にようこそ
図2 1983年4月5日号(試作版)の記事。パソコンがビジネスや個人生活を根底から変える、「パーソナルコンピューティング」の時代が到来したと解説した
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図3 1983年10月3日号(創刊号)の特集は、日本語ワープロソフト25本の評価記事。当時、コンピューターで日本語の文章を作ることが注目されていた
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