山本 雅也 氏
1986年3月 東京大学大学院工学系研究科航空学 専門課程博士課程修了 博士学位取得。同年4月、日立製作所入社。1994年1月にウェザーニューズ入社。R&Dグループ部長などを経て、1998年8月に取締役就任。2004年8月の取締役退任後、プロジェクト準備室 室長就任。2007年9月プロジェクト(WNI衛星)統括主責任者。2012年8月に取締役 プロジェクト(WNI衛星)統括主責任者。2013年5月より現職。
(写真:新関 雅士)

 ウェザーニューズは、単に気象情報を提供しているだけではない。気象がビジネスに影響を与えるリスク全体をコントロールできるようにするサービスを提供している。

 ここで言うリスクとは災害による被害だけではない。気象の変化に伴って機会を逃し、利益を損なうこともまたリスクだと考えている。

 例えば海運会社や航空会社に対して、船舶や航空機の最適な航路を提案するサービスを行っている。もちろん安全性が第一なのだが、運行期間や燃費などの経済性の面も考慮する。航空機においては、機体の条件からパイロットの特性、積み荷の量まで判断材料にする。

 航路計画が適切であれば燃費や運行時間を短縮でき、機会を逃さずに利益を増やすことができる場合もある。ウェザーニューズのサービスは、顧客の利益の最大化を支援する総合的なリスクマネジメントを提供しているのだ。

 既存のシステムや装置に頼っていては、顧客の目的を達成するために必要な情報を提供できない場合がある。例えば、気象レーダーの性能が十分でないために予測できない天気の急変がある。性能は足りているのだが、レーダーの値段が高すぎるという場合もある。レーダーメーカーから購入することにこだわっているとサービス自体が頓挫してしまう。

 そこで、アプローチを変える必要がある。無いものは造ればいい。実際、ウェザーニューズではサービスのために必要なシステムや装置であれば、自分たちで開発してしまう。レーダーも自分たちで開発した。