「デジタルマーケティング」が拡大しているというよりも、マーケティングそのものがデジタル化している今、企業のマーケティング活動をコントロールしているCMO(Chief Marketing Officer=最高マーケティング責任者)たちは、この「マーケティングのデジタル化」をどう考えているのだろうか。

 こうした疑問に対するCMOたちの回答ともいえるレポートを、2014年6月中旬に米アクセンチュアが「CMOs: Time for Digital Transformation or Risk Being Left on the Sidelines」というタイトルで発表した。意訳するなら「CMOたち:デジタル化をしなければ取り残されてしまうリスクを持つ時代」となるだろうか。

 本レポートは2013年11月から2014年1月までの期間に、11カ国10業界の年間収益10億ドル(約1020億円)以上の企業で、マーケティングの上級職に就く581人を対象に実施した調査をまとめたものだ。こういった調査は地域や業界、あるいはビジネスモデルが偏っていることが多かったが、本レポートは北米が36%。欧州、アフリカ、そして南米を合わせた地域が33%。アジア太平洋地域が31%(日本は50社で全体の8.6%)と地域的にバランスを取っている。

 さらにB2B、B2C、そしてB2B2Cというように、ビジネスモデルも広くカバーしている。大企業のマーケティング戦略で、特にデジタルに関わる部分の今後の方向性を示唆するものと考えられるだろう。

 本レポートには、「マーケティング担当役員の78%は、今後5年のうちにデータ分析、デジタル、そしてモバイルが企業のマーケティングを根本から変えることになると考えている」という象徴的なフレーズがある。企業のマーケティング活動が、これからデジタル化していくことを示唆したものだ。

 このレポートが語る「企業のマーケティングにおける根本的な変化」とは何だろう。最も多かった回答が「分析スキルがマーケティングのコア・コンピタンス(中核能力)になるだろう」(42%)というもの。マーケティング活動の多くの部分が、デジタル化により数値を伴う形で可視化できるようになりつつある。こういった数値を読み解くことがマーケターの重要な資質になると、企業の上層部が考えているというのだ。