開発したソフトウエアの「瑕疵かし担保」に関する契約条項―。開発ベンダーと発注ユーザーの利害が必ずと言っていいほど相反する。特に法律の素人でも分かりやすい論点は、瑕疵担保期間の長さだ。

 民法上の瑕疵担保期間は「1年以内」。この期間は契約によって変更が可能である。開発したソフトウエアの請負契約書のひな型は多くの場合、ベンダーが用意する。ほとんどのベンダーは瑕疵担保期間を1年ではなく、3~6カ月程度に設定し、ひな型に記載している。

 ベンダーが提示するソフトウエアの「検収期間」も、5~10営業日と短めの場合が多い。システム関連の契約に疎うといユーザーは、検収期間と瑕疵担保期間が短いまま契約してしまう。後にバグが見つかった時、「瑕疵担保期間を過ぎているので、有償の改修となります」とベンダーに告げられ、泣きを見る。結果、「素人なのを利用し、不利な期間設定をされた」「明らかなバグは半永久的にベンダーが責任を持つべきだ」「瑕疵担保期間が終了したとたん、高い改修費用を請求された」とユーザーは大いに不満を抱える。

 民法で1年以内となっているものを契約で短縮することは許されている。とはいえ、やはりベンダーの都合優先であり、ユーザーにリスクを押し付けていると言わざるを得ない。

 ベンダーにも言い分はあろう。「メンバーの手が空いたなら他のプロジェクトに一刻でも早く回したい」「期間を長く取ると新システムの運用に慣れてから気が付いた使い勝手の悪さを、瑕疵だから修正しろとゴリ押しされる」。