IT市場の15%を占める日米総合IT6社の売上高は前年比1.7%減の30兆円、利益は12%減。x86サーバー事業を中国レノボに売却する米IBMが大変調だった。サーバー業界を揺さぶるODM(相手先ブランドによる設計/製造)に米HPが参入する。これまでIBMに追随してきた日本のIT業界は先導役を失いつつある。日本のIT需要は骨太とは言えず、改革なしでは今が“最後の宴”になりかねない。
野村総合研究所(NRI)でIT・メディア産業を担当する桑津浩太郎主席コンサルタントは、最近の米大手ITベンダーの不調を次のように分析する。
「ITのコア事業であるサーバーやストレージ、ネットワーク機器が変調をきたしている。これは米IBMや米EMC、米シスコシステムズなど企業固有の問題ではなくIT業界全体の問題。まず先頭を走っているベンダーから影響が出始める。各社が懸念していた、SDN(ソフトウエア・デファインド・ネットワーキング)や所有を利用に変えるクラウドサービスの普及が変調の背景にあると見ている」。
大手ベンダーの不振は、市場の転換期に起こる特有の揺らぎ現象といえそうだ。2013年度の決算が久方振りに好調な日本ベンダーにも、遠からず波及するのは必至の情勢と見られる。
営業利益率は日米で大差
本誌は毎年、ITのハードウエア、ソフトウエア、サービスなどをフルラインで提供する総合IT企業の業績を分析している。2013年度は非上場企業となった米デルを外し、IBM、米ヒューレット・パッカード(HP)、米オラクルの米3社と、富士通、日立製作所、NECを合わせた6社で分析した。
総合6社のIT事業の売上高合計は、米企業の業績を1ドル100円で換算して前年比1.7%減の30兆8786億円(表1)。IT調査の米ガートナー調べによる2013年の世界IT市場規模202兆円の15%に相当する。IT事業の営業利益は12.4%減の4兆5395億円。営業利益率は14.7%と前年から1.8ポイント後退した。米企業3社は1.8ポイント減の18.1%、国産3社は同0.4ポイント悪化して4.9%。毎年のことながらIT事業での儲けの違いは鮮明だ。