今回は、クラウド内で規模の変更が可能なコンピューティング処理能力を提供する仮想マシン「Amazon Elastic Compute Cloud (EC2)」について解説します。

 Amazon EC2は、数分で起動でき、自在に規模を変更できる仮想サーバー機能を提供します。最適なスペックのサーバーが何台でも必要な時に数分で手に入るのです。その特長を順に見ていきましょう。

(1)数分で起動、停止したら支払いもストップ
 Amazon EC2の特長の一つは、わずか数分で起動し、停止したら支払いもストップすることです。ビジネスの迅速性を高めたり、イノベーションを実現したりするには、必要な時にただちに必要な分だけ起動できることと、不要になったら即支払いを停止できることの二点は大事です。

 サービスを停止すれば課金されなくなることをその目で確認し実感した瞬間、サービス利用に対する不安が消えた。こうしたユーザーは多く実在します。

(2)世界8カ所のリージョン、24のアベイラビリティゾーンから起動場所を選択可能
 Amazon EC2を起動する際には、世界8カ所のリージョンから起動場所を選択します(AWSには世界に10のリージョンがありますが、米国政府の特定の要件に対応するためのGovCloudと、プレビュー期間中の北京リージョンは、誰でも自由に使えるわけではありません)。

 このように多くの国を選択できることで、サーバーの利用者に近いところや、処理するデータに近いところ、あるいは「EUデータ保護指令」のような法規制に準拠した場所を選択できます。

(3)おススメは、複数アベイラビリティゾーンを利用したデータセンター冗長構成
 各リージョンには複数のアベイラビリティゾーンが設けられています。物理的に分離したアベイラビリティゾーンを選択して、各々のアベイラビリティゾーンにAmazon EC2を起動すれば、複数データセンターによる冗長化も追加費用なしに実現できます。

(4)最適なスペックを選択できる
 簡易なウェブからスパコンまで、利用用途や負荷にあわせて最適なサーバーを利用できるように、幅広い「インスタンスタイプ」を用意しています。

 CPU能力、vCPU数、メモリ容量、ローカルディスク、ネットワーク性能の様々な組み合わせを持つ、現行世代23種類、旧世代14種類、合計37種類のインスタンスタイプから選択できます。また、インスタンスタイプの変更も可能です。

 インスタンスタイプは、リソースセットのバランスがとれた「汎用インスタンス」、メモリーに対してCPUリソースを大きく確保した「コンピューティング最適化インスタンス」、グラフィックとGPGPUコンピューティング用の「GPU インスタンス」、メモリーを大量に消費するアプリケーション用に最適化された「メモリー最適化インスタンス」、きわめて高いI/O性能を持つ「ストレージ最適化インスタンス」に分類されます。