3D図面データ(3D CADデータ)を基に、樹脂などで同じ3次元構造を持つ物体を形成する機械「3Dプリンター」が急速に普及している。業務用として以前から使われていたが、家電量販店で10万円台で購入できるものまで登場し、一般家庭で購入することも可能になった(関連記事:未来の機械が身近になった!3Dプリンターが「ものづくり」に変革を起こす)。
それに伴い、負の側面も顕在化している。2014年5月、3Dプリンターで自作した銃を所持した銃刀法違反容疑で川崎市の男性が逮捕された。この男性は逮捕以前に、ツイッターなどインターネット上で銃を製造できることを誇示していたようで、それが検挙につながった。逆に言えば、ひそかに3Dプリンターで製造した銃を所持している人が他にもいる可能性がある。
3Dプリンターがなくても、工作機械とそれを扱う熟練技術があれば銃の製造は可能だろう。だが3Dプリンターを使えば、誰でも簡単に銃を作れてしまうのが問題だ。
製造に必要な3Dデータ(3Dモデリングデータ)はインターネット上で公開されている。これを3Dプリンターに入力すれば、熟練工でなくても自動的に「銃のような物体」を出力できる。銃規制が厳しい日本国内で銃がまん延する事態になりかねない。
ブラックリスト照合で銃製造抑止
大日本印刷が、この問題に対応するための技術開発を進めている(関連記事:3Dプリンターによる銃器製造などを防止へ、不法データのブラックリストと照合)。
あらかじめ銃など危険物の3Dデータのデータベースをブラックリストとして構築しておき、それと照合して3Dプリンターによる出力を規制するものだ(写真1)。